コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

がちがち、バラバラ 9-3

「なぜ刑事なんて儲からない職を選んだのです。あなたならもっと別の道が開けていてもおかしくはない」質問を乗り切った高揚感で三神の口が饒舌さを増した。

「金銭の授受と職種は均等な秤さえかけてもらえない。また、好んだ職種と好まざるそれとも同様です。楽しくて働いているのでないし、働かされているとも思ってはいない。警察は捜査を行う国防や地方維持のための機関。性質はきわめて閉鎖的。規律や不合理な常識も残る。後発的な事件の発生に即した対応が警察。もちろん、その警察における意味合いは個人では異なる。市民のためそして家族のため、過去の警察官あるいは担当人物の比較的良心的な対応によって啓発された作られた思い込みによる志。面接では明らかにそう伝えている場面がほとんどです。誰かのために尽力したいという思いに金銭が付随、警察という面目、外面的な地位によって職業が成立する。しかし内情は別世界そのもの。這い上がる悪意に満ちている。そこに身をおくと私はより強化されると思ったのです。交わらないことが常に必要とされますから。朱に交われば、ですよ」タクシーが停車、種田が軽快に乗り込み走り去った。

 小説に登場しそうなキャラクターそのものだ。切り抜けた安堵よりも、すがすがしい体内の循環にしばらくその場で立ち尽くしてた三神は、タクシーが見えなくなるまで見送った。 

 そうして、地下に降りる階段を駆け下りた。

 

 夕方フラッシュ

 本日正午過ぎ、S市中心街の飲食店裏で少女が倒れているのが見つかり、同店の店員が付近を警戒していた警官に通報。少女の呼吸は既に停止していた模様、即死と見られている。昨日発生した少女の銃殺事件との関連性が高いものと見て、警察は調べを進めている。以上、現場からの中継でした。