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ゆるゆる、ホロホロ2-6

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「そうです。なので、早急な保護が必要なんです」
「殺されているわ、みすみす見逃すはずがないもの」取り乱している自分が手に取るように感じられる。手の振るえと、足の冷たさ。考察の限りを尽くしても求める答えにはたどり着かない、これが妥当な意見。娘が姿を見せることで事態の収拾と事件の一部が明らかになるとは思う。だが、もう一件の事件も忘れてはならない。
「娘の生存の確率を大体でいいから、パーセンテージで教えてくれません?」首を垂れた仕儀が言う。
「おおよそ……」
「種田!」熊田が正直すぎる種田の返答を遮る。ありがとう、感謝。
「失礼しました」謝っている、感という字が頭につくだけで意味合いが違う。何で今こんなどうでもいいことが思いつくんだろう。押し付けられたような首を引き上げる。
「ぬか喜びをさせてしまうかもしれませんが、ひとつ引っかかることが」熊田は透明な目で声を出した。そっと触れるような問いかけであった。「二人目の被害者は、少年でした」
「……ニュースでは少女と言ってました。誤報ですか?」見間違えたのではということを聞かれていたのを思い出す。しかし、それは一件目の私の娘に似た少女についてである。
「あえて被害者の性別を偽りました。これは後で修正します。犯人をあぶりだす罠ですよ」熊田は口を押さえ咳払い。「事件は他殺。二つの事件の犯人は異なるのではないか、という意見も罠を仕掛けた理由です。仮に、同一犯であった場合、犯人は一件目との比較を求めるでしょうから、極端に二件目はメディアに流す情報を制限する。そうすると、犯人は三件目の犯行を企てる、そこを我々が捕らえる。また、犯人が異なる場合は、二件目が一件目の模倣であることとその犯行の稚拙さや一件目との比較を明確に示すことで犯行の再現を迎気させる」