「犯人が違った場合の、少女の死はどう説明するのかしら。犯人は出てこないわ」
「管轄先に指揮権が移行されて我々にはもうその、捜査権は失われてしまったのです。ですから、ここへ来たのも本来ならばどやされる行為でして」
長々と話が時間を飛び越えたかのようにふくらみ、従業員の出勤時間が迫っていた。仕儀は準備を理由に刑事たちを帰した。
気分が乗らないのは自分を客観視を放棄している証拠であると、私は見なしてきたけど、今日は素直に落ち込みを認めるしかなさそうだ。
雨は上がったけど、気分晴れない。
それどころか私の体内にだけ雲が掛かって雨を降らせようとしている。
いっそのことなら大雨を降らせてしまえばすっきりするのに、落ちそうで落ちない厚い雲が停滞して離れていかないのだった。
従業員が出勤、挨拶。
振舞えている、いつものように。
胸を刺されている感覚に襲われる。
長い一日。私は母親なのだろう。
何も施していなくても、産んだのは私なのだから。
痛がっているのがその証拠。
お客が来店、笑顔で迎える。来客には関係がないことだ。
そう、そう、本来なら私も娘ではないのだから、関係がないの。