コンテナガレージ

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重いと外に引っ張られる 1-10

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 熊田と種田がサイドミラーに映る。熊田のシビックで待機していた二人が鈴木の車に接近。
「出てこい、仕事だ」窓をこんこんと叩いて鈴木が窓を下げると熊田が低い声で言った。怒っていると初めて会った者は思うがこれが熊田の普通の状態である。
 「鑑識のからの報告を待つんじゃないんですか?」鈴木は窓から首を出して、先ほどの発言との矛盾を指摘する。
「あの死体は女性だそうだ」首を立てにくんくんと振り、熊田は言う。
「……すると、三件目の事件ってことですか?」頷きと死体は女性の言葉で鈴木は飲み込んだ言葉を反芻、閉じていた口が自然とひらく。
「現場も前の二件とそれほど離れていない。被害者は女性だからな。まぁ、模倣犯かもしれん」もしかすると、そうかもしれないという言い方である。
「それで何を調べるんです?周辺の捜索はもう済みましたけど……」
「通報者がいただろう。彼女に見られたくないから調べなかっただけさ」
「やっぱりあの人が犯人だと睨んでいるんですね。僕もそうではないのかと……」
「待て待て、まだ犯人だとは一言も言っていない」
「怪しいって言いそうな口ぶりでしたよ」コーンの端から落としそうなアイスクリームを拾ってあげた程度のほころび。
「さっき、トイレを借りたついでに近くの人に聞いたんだが、この道を使う車はここの住人以外にどれぐらいかとな。すると、車は平日なら一台も通らない時が大半だそうだ。休日でも数台が通過していく程度だと」
 最後に車を洗った日はいつだったかは手のひらの汚れで言うまでもない。
「それ以外の目的があってこの道へ進路を変更した。それも時間がなかったそうだった、遠回りになるかもしれない脇道に入ったのには休憩以外の目的があり、しかも短時間で完了する予定だった」熊田は両手を後ろおしりに当たらリで軽く組んで淡々と可能性を示唆する。鈴木はトンネル用脇の見張りの警官が2名に増えていると熊田越しに見た、おそらくは交代のためだろう。
「彼女は指示されてトンネルを抜けようとしたが叶わなかった。指示されたとして誰からの指示であったのでしょうか?それに、ひどく苛立っていたとの鈴木さんの証言から彼女は見て見ぬふりをしても良かったのではないかとの考えに至ります」種田が道路の中央で円を描くようにぐるぐると歩く。警官も種田の不審な行動を目が行く。「前日からの疲労あるいはあ長距離ドライブで疲れていたのでしょうね、休みたかった理由は。それでも彼女は急いでいた。会社に戻らなくてはならなかった。鈴木さん、彼女は勤め先に連絡を入れたそうですね?」
「ああ、そう、そう。彼女の上司に事件について説明したんだ。出版社に務めているらしいから、入稿とか期限や期日が迫っていたんじゃないかな。待機中もパソコンを開いて何か作業をしてたようだし」種田の歩行速度が落ちて、止まる。首は傾斜し、穴の開いた地面を覗く格好で停止した。