コンテナガレージ

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重いと外に引っ張られる 2-4

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 熊田が早々と退出した。そういえば、タバコを吸わずじまいであった。
 相田はブース内でまた一人となる。しばらく、時間にして数分。今度は鈴木が姿を見せた。こっちは本当に疲れている様子で頬は少しコケた感じが見える。「おつかれ」
「ああ、どうも、お疲れ様です」はあと、ため息のあとに連動してタバコを吸い始める。
「何だ、お前。もうちょっとしゃきっとしろよ」
「車から降りたら突然体がだるくなって、色々と原因を考えてみると空腹が妥当な線じゃあないかと思いましてね」
「だったら買いに行けよ。それぐらいの時間ならまだある。どうせ会議は6時ぐらいからだろう?」
「そうなんですけど、お腹が空きすぎて買い行く体力がないのです」捨てられた子犬さがならに同情を誘う鈴木である。
「買わないからな、なんでお前のを俺が買うんだよ」
「そんな薄情なこと言わないで後輩の頼みをたまには聞いてみたらどうですか」
「脅迫か?ああ、もう絶対に買わない」
「実は熊田さんたちの分も買いに行こうかと思っていまして、相田さんがもし買ってくれたらそれはもう、お腹を同じように空かせた熊田さんも喜ぶことでしょうね」
「上司に媚びを売れってのか?」
「そんなこといってませんよ。ああ、相田は案外気が利くやつだなと思われるだけですよ、それと僕の空腹もこれで収まることで、なんと一石二鳥なのです。お願いします、これでなんとか」財布から二枚のお札。「お釣りで好きなものを、コーヒーとか、タバコなんかも買えますから、ね」両手の上のお札、頭を下げる鈴木。相田は、渋い顔をしてうーんと深く唸ったあとに、一言いいつけた。
「俺がお前に頼まれて買ってきたなんて誰にも言うなよ。お前が買ってきてことにして熊田さんに渡すんだ、わかったな?」
「それはもう、ありがたい言葉で。なんなりと仰せのとおりに」
「ちょうどタバコが切れたんだ、わかってるな、それを買うついでだからな」出ていく間際も鈴木に指をさしては、確認していた。
 相田の予想通りに会議は6時過ぎから始まる。会議室の最後尾でコンビニ弁当を食べる熊田、種田、鈴木の3名と相田もあすからの捜査のために参加を熊田から命じられ、末席に座っていた。