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重いと外に引っ張られる 2-7

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 窮屈な充満する人間同士の圧力のぶつかり合いが、まばらとなった会議室でもまだ残留の粒子が浮遊。会議の意義は果たしてあったのかとは誰も口が裂けても言わないは、管理監がただ一手に情報を握りあくまでも指示はこちらが出しているのだと知らしてめているその威厳を壊さいないためなのだ。奥底では、無駄、無意味、時間が惜しい、不条理、などの心情が渦巻いているだろう。意味のないことに、前代からの遺産でさえも受け継いで疑わずにこくんと首を縦に振る。あぐらをかいて当然の顔は、いつ崩壊の瞬間を迎えるのかは、知らされない。崩壊は突然やってくる。
 我に返る熊田はタバコを咥えていて種田の射抜くような視線が教えてくれたのだと知って、タバコには火をつけなかった。鈴木が肘をついて、一連の二人のやり取りをじっと観察していた。二人の間に声の応酬はない。無言ではあるが、顔を見れば心情はなんとなく感じ取れるから不思議。熊田も種田もたまに、子供のように無邪気さを発揮する時がある。大人が無邪気であるといけないような言い方であるが、社会で誰しもがその無邪気を許されていたなら、規律の存在はまったくもって意味をなさなくなる。大人でも無邪気な人はいる。それが悪いといっているわけではないが、その人の周囲は無邪気さを受けいれていることに無邪気な人は気がついてはいないのだ。つまりは、多くの人の寛容さによって生を許されている。それだけの話だ。相田が暇そうに何度か熊田達を見やって落ち着かない。宙ぶらりんの思いは、どれも確かさを欠けさせたままで確定の一言がどれだけ落ち着いて安心と安定を生むのかを終わってから、家に帰ってほっと一息ついて初めて感じる。
 神から煙が立ち上る。焚き火の匂いはかなり離れた場所からでも感じるもので、当人はわざと自分の存在を知らせているようにも思える。
 熊田の動きに皆が注意を向ける。
 当の本人は、腕を組んでじっと首をすくめている。
 すると、ぱっと両目が開き、神に言い放つ。「神さん禁煙ですよ」
「知ってるよ」背中で声を受けて神が答える。
「私も我慢しているんです、配慮してください」微笑を浮かべる熊田。
「知ってて、ルールを破るのがルールの本質だ」
「屁理屈」種田の冷たい一言。
「ちょっと、種田」鈴木がフォローする。
「優等生のお嬢さんには理解できないか」神のしわがれた声。
「理解する意味は無いと思われます」
「熊田さん、今日はどうします。まだ、捜査を続けますか?」相田はなにか予定でもあるのか、帰りの時間が気になるようだ。
「……いまに動くのは得策ではない。先を見据えて、ここらで休憩するのも必要かもしれん。……今日はこれで終わりにしよう。仕切り直しだ」
「刑事は自由でいいねえ」
「あなたみたいに酔狂で仕事をしているわけではないのでね」ちくりと神の言葉に種田が反応する。怨みや過去に二人の間にぶつかり合いのようなものがあったのかと思わせるぐらいに周囲は種田の神への一言にひやひやする。もしも神が怒り出せば、この場騒然となり、空気は一変するだろう。うん?これが自分にどう影響をするのかを考えてみると、鈴木には全く影響はない。それをさも、関わりのある人全体の空気を自分のものだと錯覚していただけである。ヤキモキしていたのは二人どちらの立場にも立てる鈴木の特性のおかげかもしれない。おかげ?