コンテナガレージ

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水中では動きが鈍る 4-5

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 種田は美弥都に視線を跳ね返されてから視線をテーブルに落としてコーヒーを啜っていた。新しいものを取り入れようとすると反発の登場。収めようとしても無意味だ。ただ、なすがままにその感覚、感情、感応で上体の維持に努めると自然と体は細胞に新参者を落としこんでいく。
 慣れてなぞって泣いて宥めて慰め馴染んで懐かしんで名を読んで眺めて謎めき、なんとする。
「許可は頂いて来ました、店が混まないことを条件に10分ほど時間をいただきました」
「……それで?お話っていうのはこの前の続きかしら?」事件について語る時の美弥都は人格が入れ替わったように、口調が変化した。そして、店長からの許可等によって美弥都は謎解きに積極的に参加する様相が見られる。
「前回私は犯人にたどり着いたと勘違いしました。あなたが言っていた事件の見方が一様的だとの指摘に応じたのです。しかし、実際にはまだ逮捕には至っていません。あなたと私とでは思い描いた犯人は違うようです」
「なぜ殺したのかはここでは不問です。むしろ、殺害の過程にこそ犯人を指し示すプロセスが感じられるわ」
「殺害は死体発見の現場と異なる場所で行われていた」種田がポツリと呟くように言った。
「なぜそう考えたのでしょうか?現場の血液は致死量に至るには少なすぎたと言うのですか?殴られた、とあなた達言っていましたね。殴られたのは頭でしょうか、もしそうなら血液量は少なくても死には至るのでは?」
「殺害場所が発見場所であっても、事件の解決には至りません」今度ははっきりと言う。
「ええ、関係がない。その関係がないことに目を向けたことは事実よ。ならば、他にも関係のない事実を勝手に作り上げている場合もあるのでしょうと言っているんです」美弥都は斜め上に視線を落ち着けてから再び話を続ける。
「実際に別の場所で殺されようともその場での殺害であっても殺害は可能です。目撃される危険は深夜に近い時間帯ですから、低いと言える。死亡時刻は深夜だったのですね?」二人、特に種田に尋ねたようだ。コクリと種田は頷く。「続けますよ。お二人が事件について概要を語った時に私は、事実だけを見つめてと言いました。一件目の事件そして二件目。さらに三件目との間に銀行強盗が発生していますね。鈴木さんでしたか、あの刑事さんがおっしゃっていましたらから確かでしょう。怒らないでやってください、他のお客の話題が銀行強盗についてだったものですから、私からそのような事件があるのかと聞いたんです。話が逸れましたね、でも本当は逸れてはいないのです。警察は銀行強盗については殺人事件との関連性を見出したりはしていないと思いますがどうでしょうか?」
「関係がありますか?」種田がすかさず異議を唱える。
「質問をしているのはこちらです」