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DRIVE OF RAINBOW 4-2

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 昨日は警察が来ていた。なんだか頼りがいがなさそうな刑事だったと記憶しているが顔はもう忘れてしまった。重要ではないんだろう。私がお金欲しさに細工を仕掛けるなんて馬鹿馬鹿しい。まったくもって稚拙な帰着だ。常套句の、関係者全てに話を聞いているなんて言っても目星をつけた人物にしか話を聞かないのは周知の事実。疑われてるのか?笑えてきた。

 不来はアクセルを踏む、いくぶんタイヤが空転したがすぐに接地面を掴んで前進し始めた。ミラーで後方を確認しても思い過ごし。真っ暗な闇が広がっているだけである。

 眠い。あくびが出る。噛み殺して目をこする。もう少しの辛抱だから耐えるんだと励ます。広角で集客を常に求めているコンビニもまだ眠っているようで、駐車場には車は一台だけ。ちょうど袋を下げたお客が出てきたところ。買うべき消耗品を運転の合間に思い出したが、なにも閃かないので寄り道はなし。

 見慣れた光景、いつもの角を曲がる。坂道をグングンのぼり、突き当りの一本前を左へ。住宅街の静けさ。高台、家が消えれば左手は結構いい景色が見えるのにと思いつつも、家が建っていなかったらこんな場所に道は造られないのだからと文句を言う資格はないだろう。

 道を道を真っ直ぐに走って暗がりのトンネルを潜るために右に曲がる。該当が、歩道で消え去りそうに明かりを灯していた。

 どうしてか、「ありがとう」とつぶやいてみた。迎えてくれたと錯覚したんだろう。もちろん、誰にもそうやって言うらしい。私は知らなかった。

 車庫と言い張る玄関前の敷地に降り立つ。車の屋根に走行中でも落ちきらなかった雪ががっしりと張り付いていた、そうやっていつまでもすがっていればいい。他の奴らは諦めてほら、フロントガラスをすべりおりているんだ。滑り出したら案外楽しいかもしれないのに。

 指先の冷たさと張り詰めた空気に晒されて家に入った。ちんちんとエンジンが収束する声が聞こえたような気がした。ただ、靴を履いて引き戻す力も残されていない体は赴くままベッドに潜り込んだ。

 

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