コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

飛ぶための羽と存在の掌握4-4

「おかしいですよそれじゃあ」鈴木が高い声で発言する。本当に高かった。うわずったというよりかは興奮した子供が発する声と類似のものだ。「部長は事件当時から部長の役職だったんですか?」

「そうだ」

「ああ、そうなんだ」鈴木は即座に納得。

 相田は呼吸の間隔で言った。「ばか」

「……言わんとすることはわかる。それぐらいの影響力、力を持った媒体から私に指示が送れられてくるんだよ」

「内部の組織?」鈴木そして相田が連続のひとりごと。

「公安?」

「どちらでもない、とは言える。それ以上は言えないとしか言えない」

「何の話だか……」熊田は話題を修正する。部長に言ったのではない。

「理知衣音を見張っていた。また、不来回生も。では、触井園京子を御存知ですか?」種田はまた相手の土俵に踏み込んでここぞとばかりに質問をする。

「ふうーん」部長は煙草を灰皿で消す。「……鈴木、悪いがコーヒーを買ってきてもらえないか?」

「はい、あの僕がいない間に面白い話をしないでくださいね」

「いいから早く買いに行けよ」

「わかってますよぉ」

「触井園京子は捜査線上にいた。彼女の犯行ではないか、そういった見方もできなくもない。彼女はM社から謝罪や修理代、事故の治療代を受けていない」

「受けていないってどういうことですか?」

「申請が下りなかったのだ。つまり部品の不具合とは言い切れない自然な劣化として処理された」

「謝罪は受けたと思いますが?」

「いいや、車に不備は認められなかったんだ。企業がたとえその疑いがあったとしても認める訳にはいかない。他の車の安全性も疑われしまう危険性を恐れた。当然といえば、当然だ。触井園が独自に事故車両ついて調べを進めていたなんて考えもしなかっただろう」

「ええっと、話がだいぶ先にいってるように聞こえたんですが」鈴木がコーヒーを人数分抱えて戻る。部長に手渡す際に文句を言った。ドアを閉めた音は鳴っただろうか、種田は入ってきた鈴木に気が付かなかった。それだけ部長の話に集中していたということか。周りが見えなくなる、音が消える現象は種田には常につきまとう。