コンテナガレージ

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焼きそばの日6-2

 来場者の多くは道外からの旅行者だと聞いた。観光がメーン、そのついでにフェスを訪れる、というのが主催者側の見解である。一人で来るのか、はたまた二人以上か……。そもそもライブは単独コンサートと同軸の位置づけではない、とも言っていた。会場には四つのステージが設けられ、時間ごとに代わる代わる歌い手が登場するらしい。すると、不人気の会場もあるわけで、そこが出店場所に近いと集客が見込める。

 空港に着いたら、お客はまずホテルにチェックイン。ホテルはS市内が宿泊先。隣のO市は宿泊施設のある市内中心街までは二十キロほど、車で四十分から一時間。移動の起点はS市が最有力。ただし、そうなるとだ、ホテルに帰りそびれたお客は会場を追い出されるのか。店長は記憶した書類を目を閉じてあらう。会場にシャワー施設が設置されている。しかし、体を休める場所、施設などの記載はない。

 シャトルバスでのピストン輸送も初日のライブ終了後に出発する便があるんだろうか、店長は疑問視する。詳細を聞いておく必要があるか。

 お客になりきって会場入りを果たしてみた。時刻は正午前。バス移動と電車、早朝の便の到着時間を加味すると、昼前に会場に着けるはずだ。食事は移動中に一食は食べている、そう考えると小腹を満たす食事は重宝される。しかし、並んでまで食べたいと思うかどうかが決め手。空腹に勝てるか。行列は覚悟の上か、あらかじめライブを見ることが目的ならば、食事は持参しているかもしれない。

 来場者数。来場台数。バスの利用者数。バスの最終出発時刻とその行き先。ホテルまでの距離。当日券の有無。昨年の会場の模様、映像も欲しい。当日の天候はパン発注のギリギリまで決定を待つ必要があるだろう。

 屋外というのは気温と風の影響をもろに受けてしまうため、対応が鍵を握る。 

 残る懸念は館山の新メニューである。待てよ、申請してそのメニューを当日販売しない、ということは可能なのだろうか。また一つ尋ねる事項が増えた。二つあれば、両方の気候に対応できるし、焼きそばパンは気温に関係ない定番の品だ。読めないのはその出方、量。低温と強風でも確実に売れる。ただし、あまり暑すぎても売れない。かつての一回きりの記憶を店長はつかみ出す。あまり、というかほとんど大勢が集まるイベント事を避けて生きてきたのだった。その特殊な性質は目の前の景色がかもし出す雰囲気すべてを捉え、気持ちが一度に沈んでしまう。現在もめったに近寄らないが、やはり会場内の雑踏に足を踏み入れることは頼まれても拒む。

 何を考えていたのか、また飛躍してしまった。ああ、思い出した、メニューを二つに分ける。暑さに対応した商品と焼きそばの二枚看板を据えよう。しかし、明日が申請の期日。店長は館山が暑さに特化したメニューを生み出してくれれば、と願う。願うだけで自分は作らないのか、問いかける。はじまりはデータの収集。それにまだ時間は残されている、考えないと誰が宣言したのか、そちらこそ早合点はやめてもらいたい。

 内部で抗争が始まったので、強制的に意識を統一すべく店長はランチの仕込みに取り掛かった。