コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

焼きそばの日9-1

 週末の日曜、S駅が待ち合わせ場所。店長は駅隣接の店舗でレンタカーを借りる予定で地下鉄に乗り、赴いた。指定した北口のロータリーには国見のほか、二人の人影が見て取れた。結局、従業員一同でホームセンターに向かうことになったのである。

 一行は、レンタカー屋でハイエースを借りた。会場に運び入れる調理器具やブース背後の休憩スペースに張るテントや人数分のテント用の椅子など、積み込む荷物の上限の把握を確認に対して、行きだけでもホームセンターまでならば席は空いているのだからという意見を前面に押し出し、館山と小川も休日の朝早くにS駅へ遅刻せずに登場、姿を見せたのであった。

 車は一旦彼女たちを乗せた後、店に向かい、そこで会場に必要な器具を当日用の持ち運ぶコンテナの箱に並べ入れて、ピックアップ。コンテナの箱が三つ、まだ車内には余裕がある。後部座席の一列を潰すに留まり、呼ばれていない二人の席も確保されていた。

 ホームセンターではゴミ箱に代用するダンボール、食パンを運ぶ発泡スチロールに保冷材、手洗い用の洗剤、従業員の飲み物を保冷するクーラーボックス、休憩用に一人分の寝袋も。売り切れの時間に休憩を順番に取らせる予定だ。一人だけはクーラーの効いた車内で眠る体制を整える。

 国見が荷物を確認。一つ一つ丹念に車内の積載物を目視、後部座席の二人は遠出の気分でアイスを舐めていた。確認が取れて、今度はブーランルージュから会場までの所要時間を計る。一方通行の駅前通を南北に行ったりきたり、アーケード外の細い通路をたどり着いて、スタート、時間の計測に取り掛かった。

 S市内を抜けるまでの混雑は週末と平日ではさほど変わりはない。会場近くには高速の降り口が通っていないため、一般道が基本のルート。市内を抜ければ、流れはスムーズに落ち着くはずだ。

 案の定、所要時間は一時間弱だった。往復二時間を見れば妥当。従業員は皆、普通免許を持っている。接客担当の国見が離れられないなら、館山か小川が焼きそばパン専用のパンを運ぶ役目を担う。しかし、二人とも運転の経験はほぼゼロに等しいとの事実が発覚したため、仕方なく国見を運搬の役にあてがった。

 フェス会場で車を降りる。風は強い、体表面の体温が常に触れる。上着一枚を羽織る必要があるか。その点は従業員も感じている。わざわざこちらが、指導することでもない、子どもではないのだ。そこまでの責任は負えない。

 会場をめずらしそうに眺める観光客だろうか、数台を車が歩道脇に止めて、カメラを構えていた。いや、ナンバーはS市だ。やはり、近隣住民の参加は少ないと考えるべき。

 一台の車が会場入り口、間口の広い道路を走る。だが、忘れ物をしたように車は無秩序にバック、方向転換、車道に入って、店長たちの横を通り過ぎた。しかし、今度は道を目一杯、一度左に振って右にハンドルを切ってUターン。こちらの真後ろに車を止めた。人が降りてくる、店長はまた名前を忘れた。フェスの飲食の担当者であることは覚えている。