コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

今日は何の日?1-2

「だけど、大目に見てはくれるはずだ」

「リスクは避けるべきです」

「僕らの部署が解体するって言うの?」

「いつかは」ナビがルートを音声案内。鈴木は国道をそれる。S市の外れT地区を南下、海岸線に向かい、一本目の幹線道路で右折、セルフのガソリンスタンドが角に建つ交差点を信号が変わって、左折。右手の学校を通過して、細い道を右折。住宅街を低速で走る。ルート案内のナビを止めた、周辺を訴える音声に切り替わったので鈴木が目視に切り替えた。 

 低層の住宅、その隣の一軒家は事務所といわんばかりの贅沢に道路に面した敷地を贅沢に、建物はその奥に勇壮と三階の高所である。

 二人の刑事は低層のフランス料理促進普及協会の建物を再確認して、チャイムを鳴らした。呼び出し音のみ、音符、八分音符が斜め十五度程度に傾く。

 しばらくしてドアが開いた。若い女性が顔を覗かせた。鈴木は警察手帳を見せる。

「すいません、こちらフランス料理……」女性は手のひらを出して、遮った。

「無関係です、違います、何の関係もありません」

「あのう、それは一体、協会とは一切関係がないのですか、しかし、こちらの住所が登録にも明記されています」

「以前の持ち主だと思いますけれどっ」何度も訪問が繰り返されたようだ、女性は苛立ちを抑え切れていない、通常ならば可能な我慢を爆発しかねない苛立ちにまで発展させる。種田は相手の名前を聞いた、メモを取らないという約束を先に付け加えておく。女性は種田の提案に、渋りながらも要求を呑んだ。柏木未来と名乗った。

「いつからこちらの家で生活を?」種田が訊いた。二人は玄関先で話を聞いている、柏気未来は室内に入れるつもりはないらしい。

「半年前から。住んでいるっていうか、そうね、住んではいるんだけど、仕事場だから中は」

「失礼ですが、お仕事は?」

「写真家。フォトグラファーって言うのかな最近じゃあ。あんまりなじみがないから、写真家っていつも言ってる」かすかに表情が緩んだ、まだ駆け出しという印象から職業を口にするとうれしくなる、いっぱしの一人前に思える、そういった照れ笑いと自負だろうか。

「この家は賃貸ですか?」

「いいえ、買いました。部屋は他に借りてる」柏木未来は鋭い感覚を向けた。「貧乏そうな写真家に蓄えなんてあるはずがない、どこから借りたんだって思ってるでしょうね」

 鈴木は胸の前で片手を振る。「いいえ、そんな。一言も私は言ってません」

「これでも会社員をやっていたから、お金は十分にあった。ここを買ったのは、ずっと前から売りに出されているのを私が確保していた。不動産屋に掛け合って、月々の維持費を私が払って買ったの」