コンテナガレージ

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今日は何の日?4-4

 最後まで居座った真柴ルイは、ランチを二度頼んだ。カウンター席は、両隣のお客にテーブル席ほど関心を寄せない人物が一人で食べに訪れる。そのため、真柴ルイの二回目の注文でも、隣のお客は限られた休憩時間内に食事を摂ることに専念、真柴の不相応な行動には見向きもしなかった。見ていたかもしれないが、声を上げて、あるいは関心を示すほどのことでもなかったのかもしれない。

 ランチはいつもより若干ではあるけれど、量が少ないように小川は感じていた。豆という食物がメーンを飾っているのが要因なのはわかりきっていた。ただ、やはり、運ばれた時の印象は食欲を大いにそそる、かぶりつく容姿には見えないだろう。

 しかし、時間を撒き戻して、ホールの様子を再送すると、今日はいつにも以上に女性客が多かった。店長はここまで計算に入れていたのだろうか、男性客よりも女性にシフトしたメニューだったのかも。そう、店長は掲げたコンセプト以外にもしれっと別の目的、観測の意味を持っている。これはあくまでも彼女、小川の一方的な解釈である。世間の動向に流されて今日、豆の日を選んだこと自体に納得は到底、微塵も、店長らしさがないと思う小川だった。

 店の看板はとっくにクローズを掲げる。店の客はカウンターの真柴ルイのみ。ホールの食器は国見と小川で洗い場に運び入れ、小川はせっせと溜まった食器を泡を纏わせ、こびりついた汚れと油をスポンジで擦っている。カウンターの真柴が気になって、洗浄器に洗い物を投入する時に、片足を通路に出して居座るお客の姿を確認した。しかし、一向に帰る気配はない、まだ食器には料理が乗っているし、ランチの営業は二時までと表の黒板には書いてある。追い出すわけにはいかないことを、真柴は知ってて、ああやって鈍重な速度で食べ進めているんだ。

 水没した皿を手探りで探す小川は、行動の意味を模索した。ランチにフランス料理の類は確認できない、それが目的ならさっさと残して店を去るべきなのに。しかもだ、お代わりまでしている。よっぽどお腹が減っていたのか、それとも料理の味が気に入ったのか。敵対心。強制的に店を協会が囲い込む、協会の態度はかなり強引に思えた。

 店長を落とす手法が果たして存在するんだろうか、小川は真柴ルイの行動で食器洗いの暇な時間を時間を早めてくれる思考にあてた。