コンテナガレージ

コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

今日は何の日?7-4

「それってさあ、これまでの事件との関係?」

「どうでしょうか」種田は外を眺めた。こちらを見ていた男性が目をそらして駅に入る。「無関係とは言い切れないことはたしかです。狭いですから、何かしらどこかでつながりがあるのかもしれない。それは時間が経って後から気がつく類であることは大いに予見される。ただ、怪しい組織の仕掛けにしては、事態が安易に進んでいますし、私たちを巻き込む速度も発見を前提に、次々に移動を求めるのは、これまでとは異なります」

 種田たちが請け負う事件は、手に負えなく、先の見えない捜査が主流であった。彼女たちの所属部署は通例をはみ出した事例を担当し、これまで解決した事件の背後に姿を見せない大いなる流れのような、集団、組織のような力を常日頃、感じていた。真相究明に近づくにつれ、ある程度事件を紐解くとそれ以上の捜査は上層部に移り、または彼女たちの動きを読み、証拠となるものが手元を離れる、警察内部の関与も疑うのはこちらも日常。だが、事件は一定の間隔と時間、事実の発覚や証拠の発見は段階を踏んで、捜査を段階的に踏んだ際に見出し、見出されたように解き明かされた。しかし、今回の川上謙二から始まる事件の速度と数珠繋ぎに追いかけるバランスはかなり偏っている、種田はその違和感に疑問を持っていたのだ。

 鈴木は窓の外に煙を吐いた。エンジンは自動的にアイドリングをやめる。静寂が待つ。鳥の声、鶯が鳴く。電車の走行音、正しくは線路とレールが奏でる音。

「会合は夕方だってさ。昼飯でも食べるか、そろそろお腹に入れとかないと夜まで食べられない」

「おまかせします」

 S市中心街、駅前通を目指して車が移動を始めた。空腹には無頓着、エンプティーランプが点灯する間際の警告が私にも換装されていれば、種田はいつも思う。彼女は朝食を食べない。車だってそうだ、燃料が軽ければ速度は増す、ラップタイムも上がるのだから。

 坂道を登る。隣のレーンで窓から犬が顔を出していた、際限なく吠えている。どうして騒音だと気がつかないのか、そう、何かを与えているからだ。そして見返りを貰っているから。だから許容している、されている。汎用的ではないことを、まだ知らないのかもしれない。飼う権利が許可されるなら、飼わない権利も同等に優遇されても、と思う。どうでもいいことだ。耳をふさげばいい。離れればいい。考えるな、車の風を犬のように浴びて、種田は加速度を感じた。

 

小説の1話目は、こちら。

container39.hatenablog.com