コンテナガレージ

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選択は三択1-3

 最終、新形態から三週目の情報公開。

 話すことがなく、喫茶店の隣のテーブルからもれ聞こえる情報は数が限られ、小川たちがテレビから取得する追加情報もまったくなかった。

 面白いことに、彼女たち従業員はネットを介した情報はその信憑性に欠けると判断し、取り入れてはいなかった。情報の多くは種田からもたらされた警察の内部情報であり、小川たちはテレビ等のメディアで報道される情報がいかに制限されているかを思い知らされた。

 店に降りかかった突然の勧誘や規制、逃避の説得、拳銃などの非現実を上回らなかったらしく、事件の裏側を知った従業員たちは、報道の過熱が最高潮を迎える時に店へと降りかかった災難を明らかにする気持ちが薄れていた。

 事件の乖離に対し、店の状況は大幅に変化を遂げていた。ランチタイムの引き伸ばしをお客から多数寄せられ、現在ではランチ開店を午前十時から午後二時半までの四時間半の長尺にシフトしていた。三週目を迎える月曜日に新たに取り組みを試みたのは、通常の営業時間では店に入れなかった、買えなかったお客が会計やテイクアウトの商品を受け取る際に告げるやっと買えた、という発言を受けたためである。

 近隣の労働者は定時に昼食を摂るデスクワークの社員と接客業の店員が多く、後者の彼らは休憩時間の取得は日によって時間に差が生じる。もっともランチ時に休憩を取れる職種はあまりないらしい。接客業においても午後二時以降や午前十一時前というのが大半らしい。並ぶ時間が減ったことも列に並ぶ機会を作り出していた。普段は並ばないが、やけに今日は少ないから、そういった声が聞かれた。

 タクシーの衝突事故に巻き込まれた館山リルカの手首の具合は快方に向いつつあるようで、もう少し安静の必要があるという彼女の説明であった。あまり無理はできないが、短時間の仕事ならば可能であると店長は解釈、翌週は通常通りの営業スタイルに戻すことを従業員に伝えた。

制限をかけた勤務は、館山のリハビリに利用できる、と店長は感じている。店長は館山に内緒で、病院を訪れ館山の担当医に怪我の状態を尋ねていたのだ。