コンテナガレージ

コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

選択は三択1-4

 土曜日。三週間ぶりに休憩を取得した。風に当たってくる、月曜日の仕込みを終えた店長はふらりと、外の空気を吸い、有害物質も同時に取り込む贅沢を堪能するべく信号を渡りきらず、一ブロック先の川に足を向けた。

 夕日が落ちた空は淡いピンクがかすかに空と山と境にグラデーションを施し、隠れてもまだ存在を訴えている、そう店長からは見えた。川に沿って南から数人ずつのグループ、帽子に手袋、腰や手にはビニール袋、長いトングのような火鉢だろうか、金属製の器具を使って足元のゴミを拾っていた。こちらに近づいてくる。大勢で町を綺麗にするという習慣、年に何度か開催される行事であるらしい、店長は一度も参加したことがない。店の入り口付近にあるごみは毎日拾い、箒で細かなチリも掃いている。掃除を大勢で行う意味を店長はいまいち理解できずに、彼らの手技を通り過ぎるまで見つめていた。

 店長が座るベンチと川の柵に間に遊歩道が通る。ここには灰皿も完備されていた、タバコを吸っていい場所として認定されている。しかし、こちらを見つめる幾つかの視線はタバコを吸うな、あるいは吸い殻をきちんと捨てなさいよ、という意思が込められていた。思い込みかもしれないので、店長は関連づけた想いを取り払い、川を眺めた。

 正しい、そういった意志が彼らには芽生えた。良いことをしている、みんなの役に立つ自分が好きなのだろう。時間が余っているのかもしれない、高齢の人が多かったか。

 協会の副会長と名乗った真柴という女性は何者かに殺害されと、種田がランチ終了後に店を訪れて事態を伝えた。S市に事情聴取を受けた帰りだそうで、彼女が第一発見者だった。

 わざわざ店に足を運んだ理由としては、店内で拳銃が引きに抜かれたためと想像する。ただし、目撃者である店長を含めた従業員たちは直接的な証言を避けていた。使われたのではなく、あくまでも拳銃に似た手に収まり、筒の先を向ける形状の物質が田所誠二の懐から登場した、というだけの事実、確証はまったくなく、もちろん田所自身も拳銃とは言っていなかった。その後、田所誠二の行方はつかめていないらしく警察は目下、彼の足取りを追っているという。柏木未来の行方は話題に上らなかったことから、彼女は捜査の対象を外れたのだろう。つまり、会長という公式の情報は作られたという確率が高い。しかし、これは店長の推測である。