コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

選択は三択1-6

 館山は前に出た。交差点で止まったのだ。背後では、車が北上する。手を左右に広げる館山は、案山子のように、どこかの崇拝する像のように佇む。「私が、身を投げたとしたら、店長は引き止めて、体を奪い取って道に引き戻してくれますか?」思いつめた顔だ、眉が寄り、瞳が訴え、口が歪み、頬が引き攣る。

「命を落とせば、僕は君のものになるね。肉体が滅びて君がいなくなるとしたら。そうはいっても、精神が肉体に宿るプロセスを説明できていない以上、君の考えはもしかすると外れる。考える頭脳だけは生き残る可能性が残される。すると、接触と会話が断たれる世界に移行した君は現在よりも不合理に苛まれる」

 幸いにも彼女をめずらしそうに眺める人は、歩いていない。皆、川沿いを南下した先の出店に今日ばかりは川を眺めて道路沿いの人気は急落。視線を移す、信号が黄色に点滅を始めた。

「はっきりした答えが知りたい!」瞼を閉じた館山が石畳の歩道に向けて咆哮する。

「君の想いに僕が応えたとしたら、館山さんは店での態度を昨日までと同じく、他の二人に関係性を悟られずに接することができるだろうか?」

「……」

「それができないようであるならば、僕が質問に答える道理はないよ」店長は信号の変わりを待った。「片側だけを考えるべきではない、状況には両面が存在する。好意的な態度の裏には気分を高めた体験が潜み、悪意のある態度には心身を疲弊させた外的な攻撃がある。信号も変わる、それに応じて車が止まり、僕らが横断歩道を渡れる。何事にも背後を考え、包含しなくてはならない。君の想いによって得られること、失われることの両面を君は想像するべきだ。渡ろうか」店長は手を取って館山を導いた。渡りきって、手を離す。つかの間の接触

「私は店長にとってマイナス?」

「マイナスには対岸のプラスがどこかで手を振っている。取り残されたのか、見落としたのかはわからない。暗くて見えないだけかも、あるいは小さくて見過ごしたのかも」