コンテナガレージ

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エピローグ 1-3

 それらから彼は、その女性の後頭部に見惚れる。

 思考は自然と当たり前の作業のように想像へと移ってしまう。

 仕事の帰りだろうか。

 しかし、近くに明かりはなく、工事現場のぶしつけで自分勝手な明かりだけで、民家や社屋は見あたらない。

 工事現場で働いた可能性も否定はできないが、体格と目を合わせた時の感触からは想像しがたく、肉体労働よりも事務作業や受付などの職業を、山遂は思い描いた。

 バスは三つ目の停留所を留まることなく、通過した。ここから数分で駅に到着だ。忘れ物の確認する、山遂は几帳面に、ポケットを探って端末を握る。こうしなければ気がすまないのだ。自分でもそんな性格であることは長い付き合いで折り合いをつけてた。あまり表立って知られていない性質だった。人前ではあえて、大柄に振舞う。たまに、整頓されたデスクをわざと書類やファイルの束を無造作に年季の入ったメラミン天板のぶちまけて、横柄さを表現したりもする。多様性をみせたら、人は隙をつきたがる。私はそうやって落とし穴にはまった人物を信じないよう、すべてをさらけ出さないように人生を歩んできた。時に、うらびれた感情が支配にやってくる。そういった干渉に浸る時節を迎えたりもするが、表向きの綺麗さに騙されるつもりは毛頭ないのだ、と決めている。ひどい仕打ちを受けた拭えない過去はなく、むしろ恵まれた環境で育っただろう。無論、良好な環境が人格形成に与える影響のすべてを認めているのでは決してないことを言及する。