コンテナガレージ

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拠点が発展2-8

「そうこなくちゃああ。よしよし」がばっとアイラは立ち上がり、大げさにガッツポーズ。この仕草は万国共通らしい。

 玄関に移動する二人に、慌てて店員が駆け寄った。「しばらく、お部屋で待機していただかないと、部屋の鍵をお渡しできません」

スペアキーは数十分でつくれる、それにこの部屋には泥棒が入ったとしても盗めてしまう物はひとつもしまわれていない。あなたが部屋で鍵の到着を待つか、そうですね、あなたが鍵を直接取りに行かれてもいいでしょう。荷物はこのバッグだけ。鍵はポストに入れておいて、その場合は暗証番号を教えてもらわないといけない。私が部屋で黙って待っていなくても、あなたが心配するような事態は起こらない」腰を下してブーツを、履きながらしゃべるアイラはマルチに物事を捉え、考えられるようだ。すでに靴を履いて玄関ドアに背をつける種田は、アイラの指向性を分析した。店員は、青白い表情からやっと血の気が戻り、今度はアイラの突飛な対応になれたようで指示の内容をシミュレート、視線が左上に向かう。

「……私がお部屋に滞在、キーは他の者に持たせてこちらに運ばせます。私が受け取ったキーを暗証番号つきの一階ポストに投函する、ということでよろしいでしょうか?」

「抜群に正しい行動よ。それじゃあ、行きますよぁ」種田はくるりと体を回されて廊下に押しやられた、ドアが閉まる前に暗証番号の数字が口頭で伝えられる、泣き出しそうで一人では何も決められない子供であった過去が店員の表層にまとわり、包んでいるみたいだった。

「まずはどこへ?」背中に当たるアイラの手のひらの感触、種田はエレベーターにつま先を進め、尋ねた。

「腹ごしらえ」