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非連続性3-3

「そういう人には見えませんでした。どちらかといえば、おとなしそうな人でしたし」

「多分女性が見たらあなたとは反対の意見を言うと思う。同性だから好意の対象や異性への配慮を取り除いたレンズで同性を見れてしまえるの。あなただって、女性のまえで格好をつける男性はすぐに悟ってしまうでしょう?」

「質問がないなら切ります」種田は低い声を発する。忘れられているので寂しいと思っていたのではない。むしろ、興味を失ってくれて喜んでいるぐらいだ。

「カシモトシラセが私のアイディアを盗んだの?」

「通常の業務で走る車両ほど関わる人数が少ない、何者かが山遂さんが座る席に小型カメラを仕掛ければ、実現される。さらにバス会社の職員を買収しても可能でしょう。後者のほうが、接触のリスクはあるが、映像は確実に手に入る」

「できないことはないってことか」

「他に質問は?」

「ああ、僕があります。あのう、以前に開発予定地は今回のような大規模な開発工事の予定を工事着手寸前で中止になった過去があるのですが、それとは関係ないんでしょうかね?」

「はっきりとおっしゃってください」

「祟りではないのかと、思うんですよ」

ポルターガイスト……」

「幽霊は創造の産物です。恐怖が作り出した幻想です。引き寄せているのは当人たち。祟りはやましい思いや引っ掛かりが増幅して自然の現象に無理やり怪奇現象をあてがった。人を奉って災害や人災が起きて、祟りという概念を膨らませたにすぎません」種田はため息をついて言う。「切りますよ」

「二人とも元気にしている?」突然の来襲。トクンと心臓が跳ねた。

「顔は見ていない」

「誘い出そうとはしないから、安心して」

「これ以上の機密は教えられないから、切ります」

 通話終了と同時に熊田たちがぞろぞろ室内に帰還する。

「捜査方針は?」種田は熊田の顔を見るなり、執り行われた会合の結論を尋ねた。心臓はまだ跳ねている。

「凶器は後に回す。聞き込みを先に行うってさ」最後にドアを閉めた熊田は考え込んだいつもの表情とゆったりの動作で席に着く。こちらの質問に答えたのは斜向いの鈴木であった。相田は口元を押さえて、大きくあくび。