コンテナガレージ

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パート3-4

「庭のことは黙っていてはくれないだろうか?」何のために、口からでかかったが、助けられたお礼に主人の希望はかなえた。僕は首を縦に振って、つまらない微笑を作り、家を離れた。殺風景ないつもの通りである。人気もない。冬に車に乗らない人はつまりは、近距離の移動かすぐに車に乗り込める状態の人物のみだ。僕も軽装、上着は着ていなかった。おかしい、通りの惨劇は見間違えだったのだろうか。

 家に戻る。電話が鳴り響いた、受話器を背伸びして取る。

「どうして電話に出ないの、心配するじゃない。それで?倒れたって何があったの。病気、具合が悪いの?だったらすぐに病院に行かないと」後頭部の痛みは伝えずに、立ちくらみで倒れた、と母に話す。そこへ向かいの主人が倒れた僕を見つけてくれたのだとも付け加えた。「お向えさんから事情は聞いてる。だけど、万が一変な病気ってことも考えられるわ」

「仕事を抜け出して、切り上げて病院へ行けないでしょう?」

「それは、都合をつけて帰るわよ」

「無理はしなくていい、僕は大丈夫だから」

「本当に?本当に心配ないの?」背後で母を呼ぶ声がきこえる。「はーい、……できるだけ早く帰るから。不調を感じたらすぐに電話かけるのよ、端末でもこの番号でもいいから、じゃあね」

 結局母が帰ったのは日が傾いた夕方過ぎであった。母は帰るなり僕を抱きしめたが、今ひとつ愛情というものは感じられなかった。連絡を受けていの一番で帰ってきたとしても、うん、印象は変らなかっただろう。ビニール袋の氷を頭に当てて、僕は後頭部を冷やして眠った。

 その翌日を境に不可思議なことが僕の周りで頻発した。

 学校ではクラスメイト同士の喧嘩が耐えなく、教師たちも言い争う。お国柄や食生活の積み重ねがそういった体質を生み出したのだと、言い聞かせても、怒ってばかりではないか。主張は激しく、譲り合いの精神は微塵も感じられない。かと思えば、バザーや不用品、寄付などには積極的で、テレビのみ見知らぬ誰かを嘆いて助ける。ゲートの警備員も口喧嘩。あまりに砕けすぎた言葉で僕は聞き取れないが、良くないことをお互い言い合っているのは肌で感じ取れた。登下校は母と父の仕事が不規則で忙しさが増し、バス移動を余儀なくされた。乗り込んだバスでも口論。また、車も毎日事故を起こしているのだ。