コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

パート3(6)-5

 ドン、次の瞬間に衝突音が聞こえた。

 首を伸ばして、前の通りを眺めようとしたら、鈍痛。意識が遠のき、視界が雪みたいな白にすりかわった。

 暖かい空気が纏いつく、過剰な室温の高さ。

 僕は起き上がる。髪が遅れて背中に当たった。外ではない、室内だ。白壁と枠を縁取る黒が印象的な部屋で僕は意識を回復したようだ。シーリングライトが天井の低さを感じさせないし、置かれた家具もすべて低く、体重を預けるベッドもモダンなリゾートホテルのような雰囲気である。

 レースのカーテンの片方から外が見える、僕は立ち上がり、眺めた。すると、自宅がまっすぐ目の前に見えている。そして、意識を失う前の音の正体も同時に確認できた。坂を下る車が三台駐車した車にぶつかっていたのだ。近所の人が溢れて、警察も救急車も登場している。考えにくい状況ではある。だって、この場所で僕が自我を形成して以来、事故は起こっていない。住宅街であり、それも閑静なという名称が必ず頭につくほどのいわゆる高級住宅地。ドライバーの操作ミスとも思えない。雪は日当たりの悪い民家の庭に見られる程度で道路の雪は融けている、首を捻る、初心者の単純な運転だろうか。いいや、ただの下り坂。アクセルとブレーキの踏み間違いと急で誤ったハンドル操作が複合的に表現されなければ、起こりえない状況。後続の二台は衝突したと見られる車に接近していたのだろうか、でなければ回避は容易であったはず。前車が遅すぎて車間距離を詰めていた、という事態も予想は可能か。あれこれと騒がしい外の光景を眺めた僕を、ドアのノックが異空間に意識を引き戻す。はい、僕は返答、僕の家や部屋ではないのに。

 顔をみせたのは向かいの主人である。見知った人物。コーヒーを渡される、もちろんミルク入り。にこやかに表情が崩れる主人は言いづらそうに切り出した。

「あんなところで寝ていたら、君は今頃死んでいたかもしれないよ。北国の冬を甘く見てはいけないね、お嬢さん」語尾に多少の違和感を覚えたが軽く受け流す。

「気をつけます」僕はカップをわずかに引き上げて、暖かい液体が喉を通り過ぎる感触を体感する。顔を上げて、発見の状況を訊いてみた。僕が倒れた位置は物置の影と車道との高低さで向かいのこの家と車道からは角度的に発見は無理である。

「おすそ分けだよ、お隣さんが留守だったかr、君の家に持っていたんだ」老人は手を広げる。理解や同意を求める時に多く見られる仕草のひとつだ。セールスマンや固着した笑顔の人物が所有する動作である。「事故の衝突がその時に聞こえて、見えやすい場所に移動したら倒れている君が視界に飛び込んできたのさ。黙って敷地内に入ったのではないからね、断言しておくけど」地域は信用で成り立つ。特にこの一体は土地の高価格に治安が含まれている。ステータスのための購入者と安全を買う二つに住民のタイプは別れる。老人は明らかにステータスのための住人で年齢を重ね、後者に移行したと思われる。