コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

パート4(8)-2

 エレベーターに乗り込み一階で下りたら、玄関で待ち構えていた白衣の医者が出迎えた。個室に案内される。特別室の表札が下がる部屋。

 左に引かれたドアに肩がぶつかる。いつものことと医者たちの心配を落ち着いたトーンで一蹴する。

 僕は実験体。病院着に着替えさせられた、居合わせる数人に出て行ってもらう。母は端末が使えるエリアを医者に尋ねて、席をはずすついでに忙しさをアピール。働いている母親、働く女性を医者たちに見せ付けたいのだろう、浅はかな考えではあるが、僕には無関係なので全面的な否定は控える。

 命の危険があるとは思えないのだから、普段着ている寝巻きでも良かったように、着替えてから気がついた。 

 ノックに返事をすると、てきぱきと死角開放の準備が始まってしまった。白いスリッパが足元、ベッドに座る宙に浮いた足元に用意される。僕はそれを運んだ看護師に向けて、軽く顎を引いた。

 医師に寝るように言われる。腕に針が刺されて、なにやら液体を注ぎ込むらしい。左目の機能回復のため、眼帯をはずした状態で数時間を過ごす必要性を示唆されていた。眼帯はあまり自然光を透過しない状態を長期間続けているため、光にまずは慣れされるのだそうだ。医者の説明は記憶を探って取り出せる。だけれど、僕が聞いた説明だったかと実感は湧かない現実に直面してる。記憶がさらえないのは、初めての経験。医者が耳元で何か話しかけてる、やさしいと優しさを装った言葉の隔たりを彼はおそらく知らない。ざらついた音声を耳に入れて、僕は重たいまぶた、片目を閉じた。

 目を覚ます、死角はきれいに消え去り、視界は良好とはいえなくても、状態は回復、と私は判断を下せた。医者は見えづらい視界は、私の意識に要因を認めるとの見解を明示した。まっとうな意見だ。

 経過観察を告げた医者たちが退出、私は自分の髪の長さを改めて、窓と鏡で見せ付けられる。