コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

蒸発米を諦めて4-5

「アレルギーは忌み嫌われる対象とおっしゃいましたね?」

「たしかに。しかし、給食のパンを食べずに白米を特別に個別に弁当を持参する姿は、ステータスの向上と同義だそうです」男は何かを待っている、引き止めて欲しいか、それとも僕が隠してる手札を出させるため。失うものに執着を払う。その力を変化への対応にどうしてこの人は回さないのだろうか、店長は不思議でならない。人を頼ることを否定はしない、むしろそういった助け合いが世の中の仕組み。だから私は極力その輪を離れた。むやみに相談も解決、終わりのない無意味な愚痴はもっとも嫌う対象だ。何かにつけて私は、人から良く相談を受けていた。おそらくは、私が余り攻撃的、つまりしっかりと反論する人物に思えないためだろう。確実に見限っていた、相手は的確な答えなど求めてはいない人物が大半で、中には真摯に言葉を受け止めた人もいたが、その人たちはまとまった意思の背中を押してもらいたかっただけのことで、考えも行動も残り数歩で叶い、選択は正しい。しかし、彼の求めは、叶わないだろう。社会で生きるには、関係性と距離感はどの年代においても重要な指標であることはたしかだが、特段その居場所、環境が世界のすべてとは言い切れないものまた事実である。環境が適さないならば、適する環境に移りかえればいいのだ。どうして、住まいを居場所を、その位置に固執するのか、やはり理解には及ばない。

「お話の途中ですが、仕事に戻らせていただきます」

「待て!」

「何か?」

「米を独り占めてしいる、そういう噂を耳にした。あなたが、隠し持っているとも。お店に出さないのは自分たちで食べるため。持っているなら、売ってくれてもいいでしょう?あなた方は健康そうですからね」

「言いがかりはよしてください。警察呼びますよ」館山が言い返した。

「警察?店の評判が落ちる、あなた方にとっては、マイナスのイメージをお客に植え付けることになる。今の時代、いつでも誰かが情報を報告してくれる」

「最低」

「あるのか無いのかを、きいている」ドンと床が踏みつけられる。

「ありません」店長は閉じかけた瞼で否定した。

「隠すとあなたの身にならない」