コンテナガレージ

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予期せぬ昼食は受け入れられるか?3-1

 週が明けた月曜日。日曜の晴れ間が続き、今日も青い上空を見せつける。地下の階段を上りきって、交差点を眺め、ファッションビルのマネキンに挨拶、セールの文字が目に余る。在庫処分、保管していても仕方がないので、買ってくださいという本心が通行人には見えないらしい、店長は呪文のような文字を見切りをつけて、角を曲がり、店に近づく。

 すると、店の前に人が立っている。従業員には見えない、誰だろうか。

「なにか?」声をかけた。振り向いたのは女性で、短髪の髪は茶色くボリュームがある。肌は白く、小柄な体型。僕よりも十センチ以上は低い、店長は目線を下に据える。

「あっ、いえ、何でも」女性は身を固くする。胸の前で腕を寄せてバッグが肘の辺りまで下がる。手は軽く握られている。「……お店の方ですか?」

「はい」

 長い人工的なまつげが瞬く。「ここのランチでナンが売られていたと思うんですけど、それって今日も販売しますか?」質問の意図がわかりかねた。店の前にいるということはここでナンが販売された事実を知っている。だが、実際に食べたことがないように話す。また、店の訪問は初めてのようだ。ランチのメニューは毎回変えている、同じメニューをその週に続けて登場させることを店長はこれまで行っていなかったのだ。知り合いに店のことを聞いて、やってきた。しかし、それでは店の開店時刻も知らないのはおかしい。まだ時刻は朝の八時。通勤通学の人間が早足で闊歩する時間帯に、飲食店が開店しているとでも思ったのだろうか、考えにくい。

 店長は、疑問を抱いて彼女に返答した。今日は小麦と大豆の両方をランチを提供するとだけ、決めていた。具体的な料理はまだ形を成していない。リクエストがあるのならば、作る価値はあるのかと頭を働かせる。