コンテナガレージ

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予期せぬ昼食は受け入れられるか?4-1

 店主は警告を発した女性の風貌についての詳細を語っていない。そのため、店主だけが女性の不適な視線と笑みを察知している、という状況である。逆光が目に入り、視界が上手く望めないのが難点。店主の視線は、列を去ってランチを手に提げる制服の女性を追った。目ざとく国見が店主の視界に入る。接客に集中しろ、という意味だろうか。女性に対する視線の意図を感じ取れるのは、動物的な鋭さよりも自分の身が脅かさせる、つまりは意中の相手、デートの相手、近しい距離感の相手が離れてしまう不安によってなされる行動。国見がこちらの意思を読み取っているのではない、そう私は思いたい、店主は意識を注文を待つお客に向けた。

 残り二人、朝の女性が迫る。一度、目が合う。だが、すぐにはずされた。あちらも何らかの意識はしている居づらさのような、ランチ以外の目的をかもし出す。

 スーツの男性が五つも買い占めたので、テーブルに積んだランチが消える。店主は振り返り、出窓から合図を送った。ちょうど、車を所定の位置に納める誘導係のような仕草である。

「いつもよりお客さんを多くないですか?」大豆と小麦のランチをそれぞれ五つずつ運んだ小川が列の並びを、首を伸ばして観察、おでこに水平に手を当てて遠くを見る仕草で彼女は平静と言ってのける。お客の前での店員の私語はあまり良い印象を与えていない、働いている当人たちは日常会話、接客の息抜きぐらいに思っているだろうが、お客にとっては話している暇があるならば、仕事に集中してもらいたい、という意見もあるようなのだ。

「これが通常なのかもしれない」

「種類別に入れますね」先に会計を済ませたお客を待たせないよう隣の国見蘭も手伝い、大豆と小麦のランチを種類を統一させて袋に詰める。しかし、二つの袋に五つは収まりきらず、結局は三つの袋に小分けされた袋を両手に提げて、男性は足元に気を使い店を離れた。

 フードをかぶった女性は次の次。ピンク色の女性、制服姿の人物の後だ。制服の女性は明らかに軽装、コートも前を開けている。積雪もなく、風もまったく感じられない、たまに微風が吹く、動いていれば、暑いぐらいの陽気によった服装である。

 女性に注文の品を渡して、本日二度目の対面がおとずれた。

 無表情。

「……大豆のお弁当は売れてます?」女性が消え入りそうな声で尋ねた。国見はまったく不審には思っていない、おつりの五百円玉を重ねている。