コンテナガレージ

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店長はアイス  過剰反応9-6

「しかし、忘れ物を安易に捨てますかね」

「故意にだったら?間違ってか、あえて捨てたかにこだわる必要はない。被害者の死と本との結びつきを知られたくはなかったら、本をとっくに処分しているはずだ。なのに不確定なゴミ出しを今日まで放置する行為は矛盾している」

「つまり、無関係な人物が故意にまたは無意識に本を処分に導いた。それは店の人間ということ」

「鍵は、この通り簡単な作りだ。錠前といえども専用の工具を使えば開けられる。店の裏側、住宅街でもない、深夜には暗がりで鍵を空ける時間に困らない」

「本ですかまた……」種田は考え込む。

 熊田はゴミの蓋を閉めて、手を払う。二人は外に出た。風が吹いている事実を、汗を掻いたおかげで知れるのはありがたいが、体全体にうっすらと掻く汗はどうにもやりきれない。梅雨と夏が交互に顔を見せる、そんな先週からの気象である。

 鍵を返した。従業員はてきぱき動き、テーブルを拭いていた。入り口にはお客が列を成していた。平日のそれも昼間に並んでも食べたい食事か、熊田は考えたこともない。車に乗り込み、二人は署に帰った。暑さの残る車内は、署にたどり着く五分前でようやく涼しさを感じられた。