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2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」が訊きたくて 8

夏雨に見舞われた。忙しなく反復運動に勤しむ間欠窓拭(wiper)は活き活きと蛙みたい。聴取は大勢に覗かれた取調室で一夜を明かす現在も続く。人権侵害の抵触を避ける参考人へは九時間の睡眠を促し翌朝七時頃に再開するらしい、起床は六時半であるから、食事、…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」が訊きたくて 8

夏雨に見舞われた。忙しなく反復運動に勤しむ間欠窓拭(wiper)は活き活きと蛙みたい。聴取は大勢に覗かれた取調室で一夜を明かす現在も続く。人権侵害の抵触を避ける参考人へは九時間の睡眠を促し翌朝七時頃に再開するらしい、起床は六時半であるから、食事、…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」が訊きたくて 7

「あなたは高山明弘さんですか?」「はい」 「五月二十七日S駅の地下通路において犯行を目撃しましたか?」「はい」 「事件後、あなたは繁忙を理由に出頭願いを拒否しましたが、離れられないかかりっきりの仕事をあなたは抱えていたのでしょうか?」「はい…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」が訊きたくて 7

「あなたは高山明弘さんですか?」「はい」 「五月二十七日S駅の地下通路において犯行を目撃しましたか?」「はい」 「事件後、あなたは繁忙を理由に出頭願いを拒否しましたが、離れられないかかりっきりの仕事をあなたは抱えていたのでしょうか?」「はい…

 あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」が訊きたくて 6

物音が聞こえる。階段を上がる正面奥に自動昇降箱(elevater)が出迎える、左手に構える二枚の戸(door)はひっそり佇む柳。手前の一枚は色艶と素材に勝る『応接室』金色の金属板(plate)が明らめ掲ぐ。二枚の間やや右寄りに額に入る掲示板が掛かる。奥の一室は事…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」が訊きたくて 6

物音が聞こえる。階段を上がる正面奥に自動昇降箱(elevater)が出迎える、左手に構える二枚の戸(door)はひっそり佇む柳。手前の一枚は色艶と素材に勝る『応接室』金色の金属板(plate)が明らめ掲ぐ。二枚の間やや右寄りに額に入る掲示板が掛かる。奥の一室は事…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」が訊きたくて 5

昨日駆けずり回った成果を人数に限りのある車内は会議室で報告をする。移動車両は熊田の自家用車。 「銭湯で談笑する近隣住人は不科白(extra)で、雇われたのだろう。一芝居打って現金が舞い込む。前金と後払い、風呂で長湯をすれば好く、人員募集は黙って群…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」が訊きたくて 5

昨日駆けずり回った成果を人数に限りのある車内は会議室で報告をする。移動車両は熊田の自家用車。 「銭湯で談笑する近隣住人は不科白(extra)で、雇われたのだろう。一芝居打って現金が舞い込む。前金と後払い、風呂で長湯をすれば好く、人員募集は黙って群…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」がききたくて 4

昼食(lunch)は大盛況のうちその幕を閉じた。店内は活気を通り越し血気盛、いつまで待たせるのとお客の数名が扉(door)を開け閉め牛鈴鐘(cow bell)を鳴らし。打って変わる、本分と云うべき不動、鳴きもしない。献立(menu)開発に新たな一面を加える提供(approac…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」がききたくて 4

昼食(lunch)は大盛況のうちその幕を閉じた。店内は活気を通り越し血気盛、いつまで待たせるのとお客の数名が扉(door)を開け閉め牛鈴鐘(cow bell)を鳴らし。打って変わる、本分と云うべき不動、鳴きもしない。献立(menu)開発に新たな一面を加える提供(approac…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」がききたくて 3

飛び出した洋食店『エザキマニン』へ引き返すも夕食帯時(dinner time)が始まった。呼びかける機会は過ぎた。食欲を無理に呼び起こす種田は手早くハヤシライスを平らげ長尺対面台(counter)に積む皿越しに念を送るが、二度目の妨害、小川という従業員の遮りに…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」がききたくて 3

飛び出した洋食店『エザキマニン』へ引き返すも夕食帯時(dinner time)が始まった。呼びかける機会は過ぎた。食欲を無理に呼び起こす種田は手早くハヤシライスを平らげ長尺対面台(counter)に積む皿越しに念を送るが、二度目の妨害、小川という従業員の遮りに…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」がききたくて 2

小川安佐はpizza(ピザ)生地の具合を一時間の休憩から戻る館山リルカに見てもらい、かろうじてお客さんに提供を許す合格点をもらった。店長はそ知らぬ顔に過言(いいすぎ)はと、それでもpizza(ピザ)生地については先輩に全権を一任するのだった。たまに確認を…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」がききたくて 2

小川安佐はpizza(ピザ)生地の具合を一時間の休憩から戻る館山リルカに見てもらい、かろうじてお客さんに提供を許す合格点をもらった。店長はそ知らぬ顔に過言(いいすぎ)はと、それでもpizza(ピザ)生地については先輩に全権を一任するのだった。たまに確認を…

 あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」がききたくて 1

白に塗り替えた内装、自動扉(door)の一枚外側に鎧戸(shutter)、導き光床に一筋二筋陽が漏れる。倉庫を思い起こす。罪悪感と身を寄せた「明るくなければ」は、体内で最高域(peak)を迎えた。立ち上り、霧散。煙草の煙みたいだ。種田は日本正(にほんただし)の吐…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」がききたくて 1

白に塗り替えた内装、自動扉(door)の一枚外側に鎧戸(shutter)、導き光床に一筋二筋陽が漏れる。倉庫を思い起こす。罪悪感と身を寄せた「明るくなければ」は、体内で最高域(peak)を迎えた。立ち上り、霧散。煙草の煙みたいだ。種田は日本正(にほんただし)の吐…

「はい」か「いいえ」 7

「臨時休業」を力いっぱい書き付けた印刷(copy)用紙を店内から貼り付ける。 筆pen(ペン)の踊る動きを求めて隣の文房具店へ押し合いへし合い、命からがら目的の商品を買い、四つに折り畳んだ白衣(はくい)から取り出す用紙に清算(レジ)台を断って借りる。購入…

「はい」か「いいえ」 7

「臨時休業」を力いっぱい書き付けた印刷(copy)用紙を店内から貼り付ける。 筆pen(ペン)の踊る動きを求めて隣の文房具店へ押し合いへし合い、命からがら目的の商品を買い、四つに折り畳んだ白衣(はくい)から取り出す用紙に清算(レジ)台を断って借りる。購入…

「はい」か「いいえ」6

常人の発想は疑いようもなく妥当、正当性を帯びる。頚部を胴体から切り離す手技にknife(ナイフ)の適用は短時間における作業に不適格な選択だ。切断面の歪みのない均一な面、傾斜は一撃による製品、作品と呼べる。手入れされた包丁はスムーズに肉の繊維をぺろ…

「はい」か「いいえ」6

常人の発想は疑いようもなく妥当、正当性を帯びる。頚部を胴体から切り離す手技にknife(ナイフ)の適用は短時間における作業に不適格な選択だ。切断面の歪みのない均一な面、傾斜は一撃による製品、作品と呼べる。手入れされた包丁はスムーズに肉の繊維をぺろ…

「はい」か「いいえ」5

「凶器を犯人が持ち去る、行方は像録機(camara)が追いきれず途切れてしまった。目撃者は二名で地下道から見上げことの惨劇を目の当たりにした。けれど、犯人の姿は見ておらず、逃走する犯人らしき姿も覚えがなかった……。S駅で起きた事件なら私知ってますけ…

「はい」か「いいえ」5

「凶器を犯人が持ち去る、行方は像録機(camara)が追いきれず途切れてしまった。目撃者は二名で地下道から見上げことの惨劇を目の当たりにした。けれど、犯人の姿は見ておらず、逃走する犯人らしき姿も覚えがなかった……。S駅で起きた事件なら私知ってますけ…

「はい」か「いいえ」 4

「……という幕劇(drama)みたいな映画っていうのもありですけど、最近のは高感度の無線集音器(ワイヤレスマイク)が鮮明(clear)な映像と相まって物語の本質をないがしろにしてしまってる。人間の視力と聴力を超越したがために失ったものを取戻すべきなのですよ…

「はい」か「いいえ」 4

「……という幕劇(drama)みたいな映画っていうのもありですけど、最近のは高感度の無線集音器(ワイヤレスマイク)が鮮明(clear)な映像と相まって物語の本質をないがしろにしてしまってる。人間の視力と聴力を超越したがために失ったものを取戻すべきなのですよ…

「はい」か「いいえ」3

被害者の遺送時期と遺送先の詳細を求める催促に、熊田は我冠せず、待ちの姿勢を貫く。捜査に手は貸すが管轄内の段取りまでを明かしてなるものかよそ者、隣家の庭を出入りするから、熊田の裡である。見つかる肩口の痕にも刃物の触(あた)りは望めもせずに留保…

「はい」か「いいえ」3

被害者の遺送時期と遺送先の詳細を求める催促に、熊田は我冠せず、待ちの姿勢を貫く。捜査に手は貸すが管轄内の段取りまでを明かしてなるものかよそ者、隣家の庭を出入りするから、熊田の裡である。見つかる肩口の痕にも刃物の触(あた)りは望めもせずに留保…

「はい」か「いいえ」2

「店長、この新聞も持て帰ります?」国見蘭と館山リルカは予測に準じさっさと店を出た。ぐずぐずと着替えを最後に小川安佐が精算台(レジ)に積み重なる雑誌、読み物の束に手をかけた。暴風雨、洪水警報はS市全域に発令、午後九時半を目処に店を閉めた。九時…

「はい」か「いいえ」2

「店長、この新聞も持て帰ります?」国見蘭と館山リルカは予測に準じさっさと店を出た。ぐずぐずと着替えを最後に小川安佐が精算台(レジ)に積み重なる雑誌、読み物の束に手をかけた。暴風雨、洪水警報はS市全域に発令、午後九時半を目処に店を閉めた。九時…

あいまいな「大丈夫」では物足りない。はっきり「許す」がききたくて 1

白に塗り替えた内装、自動扉(door)の一枚外側に鎧戸(shutter)、導き光床に一筋二筋陽が漏れる。倉庫を思い起こす。罪悪感と身を寄せた「明るくなければ」は、体内で最高域(peak)を迎えた。立ち上り、霧散。煙草の煙みたいだ。種田は日本正(にほんただし)の吐…

  「はい」か「いいえ」1

先週は店の二階にとって開業から今日までで最も脚光と活躍の場を与えられたろうか。二週間に一度、手抜き掃除を続けていて正解であった。月曜の昼食献立(lunch menu)は気温の低下を考慮したシチューを起用し日曜の夕刻あたりから取り掛かり終電の一本前まで…