コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

がちがち、バラバラ 3-2

「偶然かぁ」「同じ屋根の下に住んでいれば、リズムはどうしても揃ってしまうものなのよ。逃れられないんだから」 宅間の隣で、缶が音もなく合わさる。「一軒家を手放したのは、後悔してる?」宅間は、中空に呟いた。半開きのカーテン、ベランダとうっすら室…

晴れの休日にワークマンの温かい対応

昨日、ワークマンで冬用のジャケットを買った。数年前から、雪かきの際に着ていたスキーウエアが破れていて、我慢して使っていたのだ。 そこで、冬を迎える前にジャケットを新調したいと思い、目星をつけていたジャケットを買いに出かけた。ワークマンに入る…

がちがち、バラバラ 3-1

ひっきりなしに車が吸い込まれる、忙しさは普段の倍以上。送ってもまた、車が乗り込む始末。うれしい悲鳴。宅間隆史は、かつての自分を投影したかのような、仕事に追われる人種に駐車券を手渡す。ここ数年で料金の支払いはカードから電子マネーに移行、会社…

がちがち、バラバラ 2-4

「すると、この子は男なのですか?」目を丸くした仕儀が写真を注視、そのまま高い声で言った。 「いいえ、女の子です」 「どういった趣旨の質問ですか、これは?」 背筋を伸ばした姿勢で種田が言う。「あなたから虚偽を示す兆候は見られませんでした。写真を…

がちがち、バラバラ 2-3

「塗料を取った際に居合わせたのはこちらの店員とサービスを受けていたお客と思って間違いありませんか?」種田がきいた。 「ええ、そうです」 「以前に傘を持った人物を見かけたことは?」 「ありません」仕儀は言い切る。 「この顔に見覚えは?」一枚の写…

がちがち、バラバラ 2-2

午後。店の予約状況を鑑みて、従業員が続々、休憩という名の栄養補給になだれ込む。ほんの一時間ぽっきり。これでも美容師としては、長い時間の休憩に値する。週末はほぼ休憩が与えられないと考えて妥当な試算である。しかし、ほとんどが予約制に切り替わり…

がちがち、バラバラ 2-1

警察が訪れたのは忙しさがピークに達する午前の段階。颯爽と二人の刑事と名乗る人物が、昨日の事件について尋ねる。生憎、手がいっぱいでそんな暇はないと、言葉だけを聞くと乱暴やあつかましさが感じ取れるけれども、忙しいときとはおおよそ誰だって普段の…

がちがち、バラバラ 1-2

また考えが散らかる。昼の続きを書かなくては。 三神は別室のいわゆる書斎に移り仕事にとりかかった。自宅でも彼はノートパソコンを愛用している。デスクトップPCの購入は、ここ数年控えていた。負荷のかかるゲームをするわけでもなく、高画質の映像を求めて…

がちがち、バラバラ 1-1

昨日の正午過ぎ、S市中心部の通りで北西大付属小学校に通う九歳の少女が死亡しました。死因について、警察からの詳しい発表はありません。繁華街に近い場所で小学生がなぜ、平日の昼間に現場にいたのかについても不審点が残るといえるでしょう。さあでは、続…

あちこち、テンテン 8-7

終業時間ギリギリまでお客が引かなかったため、ディナーの売り上げは好調であった。厨房を片づけて、小川安佐と館山リルカは裏の更衣室へ、ホール担当の国見蘭はカウンターで本日の売り上げの計算。黒皮の帳簿に売り上げを記入。このあたりはまだまだアナロ…

あちこち、テンテン 8-6

「はい、弁解の言葉もありません」「根拠はありませんが、現象につながりを求めるのは安易な行動で、選択肢を増やすだけのこと。そういった事実があった、その程度認識だけにとどめておくのが肝要です。後、言い残したことは、なんでしょうか。色もあまり意…

あちこち、テンテン 8-5

「死因は?」「これはオフレコでお願いします。あなたもよろしいですか?漏れれば、情報漏えいで罪に問われるかもしれない、聞かないという選択肢もあります」「心配いりません。彼女にはもっとやるべきことが山積してます。噂話に興じる余裕などないはずで…

あちこち、テンテン 8-4

「別人だったのでしょう」店主が即答する。興味を示す様子は微塵も見せない。「黒い傘、赤の斑点、緑のコートをまったく無関係の他人が同様の格好で同じ時間に出現しますか?」熊田は試すように早口でまくし立てる。「別人ではあって他人ではない。示し合わ…

あちこち、テンテン 8-2

「店長、優しいんですね?」「僕が?なんで?教えて欲しいからその答えを言ったまでだよ。変わらないだろう、いつもと」肩をすくめた店主は再び白菜を切る。「朝とは言い方が違いますもん。間接的に安佐へも投げかけたのかなって」「どうだろうか。うーん、…