コンテナガレージ

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2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

店長はアイス 恐怖の源4-4

「ああ、何だそっちね。うん、知ってたよ。いやだなあ、種田。まじめにとるなよ」「それにカバーがついていませんでした」大嶋は忘れて声を張る。「それに文字が上下逆さまに印字されていたのですよ!」「逆さま?」鈴木が鸚鵡返し。熊田と種田は情報を掬い…

店長はアイス 恐怖の源4-3

「いないって、どうしてまた」大島八郎はまた拡声させ、指摘を受ける前に反省。一転、小声でしゃべる。「私はその人に頼みましたよ」「疑っているのではありません」「その男の携帯電話で警察に通報しました!ああっ、思い出した、思い出した」沸点の上昇が…

店長はアイス 恐怖の源4-2

「海?」「……船ですか」種田は僅かに開いた肩で浮かぶ船舶を見つめた。「ええっつ!でも、なんでまた。通報後に姿を消したら疑われますよ」鈴木が主張する。日差しが強い、海面反射でさらに波打ち際は照り返しが強い。熊田はハンカチで汗を拭く。「記録を残…

店長はアイス 恐怖の源4-1

熊田たちO署の刑事は安らかに眠る顔を瞳に焼き着付けた。現場保存された一帯に群がる野次馬を押しのけて鑑識の到着後に熊田たちが呼ばれたらしく、緊急の事件性は低いと熊田は結論付けた。彼らが呼び出される場合、迅速さはいつもあってないようなものだっ…

店長はアイス 恐怖の源3-5

結局、世界は私が思うようにしか動かないし見れないのだから、あなたが気に病んで塞ぎこんでいればその通りに、一方明るく、はしゃいでいたらその通りの世界が待っている、内容としてはこんな感じだろうか。最後の、あとがきを読み出して、聞き覚えのある声…

店長はアイス 恐怖の源3-4

料理が届いた。カレーである。欧風でも日本のカレーでもない、スープカレーである。手を合わせて食べる、本を裏返してテーブルの端へ。読書は一休み。骨付きのチキンは、ほろほろと解けるぐらいやわらか。ライスを掬い、スープに浸す、チキンも添えて。スパ…

店長はアイス 恐怖の源3-3

お題「ひとりの時間の過ごし方」 外観は一軒家のログハウス、二階はないのだろう、あっても屋根裏部屋程度のスペースが限界かも。エスニック風の厨房とカウンター席はライトを囲うように竹で組まれた四角推の側面を藁が覆っている。丈の違う観葉植物が一人で…

店長はアイス 恐怖の源3-2

お題「ちょっとした贅沢」 勤め先に隣接する系列の飲食店では、オーガニックの食材にこだわった料理を提供する。私自身、料理には無頓着でオーガニック食材の判別を食べているお客が一口一口確かめ舌で味わい、感じ取っているのかどうか疑問を感じていたぐら…

店長はアイス 恐怖の源3-1

お題「行きたい場所」 紀藤香澄は雑誌を頼りに車を走らせ、食事を楽しむのが休日の主な過ごし方である。彼氏はかれこれ四年も作っていない。頑張れば作れてしまうような言い方もまんざら嘘でないのだ。好意を示す数人に付き合いを申し込まれた過去がある。つ…

店長はアイス 恐怖の源2-2

お題「コーヒー」 「今週はもっと暑くなるってさ。アイスコーヒー、余分に仕込んでおかないと」レジ前が店長の定位置。大きなお尻を小さな座面の折りたたみの椅子に乗せた店長が言う。私にいっているのか、美弥都にはわかりかねた。「夕方前の落ち着いた時間…

店長はアイス 恐怖の源2-1

お題「コーヒー」 先週の気温上昇に比例し、昨日、一昨日の週末は特にお客の足が途切れなかった。日井田美弥都は店内の床を箒で掃き取ると集めたゴミをハンディタイプの掃除機で一気に吸い込んだ。掃除機の排気で埃っぽさをより感じるが、窓と入り口を開けれ…

店長はアイス 恐怖の源1-3

お題「コーヒー」 ポツリ、鈴木が呟く。「今日も暇だったら嫌ですね。毎朝、予定がない出勤なんて聞いたことがありません」「暇と口すれば、忙しくなるのが常だ」熊田が言う。隣の種田は無表情でしかも背もたれに背中を接地させていない。「ジンクスですか?…

店長はアイス 恐怖の源1-2

お題「コーヒー」 数分後。ドアが開くなり、「おはようございます」、と女性が挨拶。彼女は種田。無表情な顔とショートヘアーが特徴的で、時間に正確。これがこの部署の最大の人員である。ミイラと称される部署。由来は、ミイラ取りがミイラになるように部署…

店長はアイス 恐怖の源1-1

恐怖の源 1 熊田は上着を抱えO署に出勤する。彼はこの警察署の刑事で窓際部署に籍を置く。通常では彼が所属する部署と言えば、雑用すらも押し付けられない人材の掃き溜めとして周囲からは認識されている。しかし、熊田には無風。噂や他人の評価には無関心…

店長はアイス プロローグ1-3

「いい加減にしてくれよ!朝っぱらから、私が何をしたというんですか、だいたい……」柴犬の隣、あお向けになり、首が背もたれを越えてストレッチでもしているかのような姿勢の女性が天を仰ぐ光景を男も捉えたのだ、動きが止まる。 人形のようなそれは先ほどよ…

店長はアイス プロローグ1-2

ベンチまでおよそ一メートルに差し掛かると、大島八郎の足が止まった。コロが際限なく吠える。彼の登場を待っていたかのように、女性が顔からアスファルトに崩れ落ちた。慌てて大嶋が駆け寄る。「大丈夫ですか。もしもし?大丈夫ですか?」いくら呼んでも返…

店長はアイス プロローグ1-1

大嶋八郎は日課のランニングに出かけた。空は澄み渡り、快晴で気温も高く過ごしやすい陽気。日中は暑さに嘆くのだろうと予感する。柴犬のコロを連れてのランニングは日に日に走るペースが落ちている、ここ数ヶ月でコロの体力低下が如実に見て取れた。そのた…

エピローグ 1-3

踊る煙。お客が一人、店を出た。「お代は僕が持ちます。僕は二杯飲みました。では」忘れ物、紙の束、便箋かメモ帳、手帳にも見える。ぺらぺら、薄っぺらな厚み。 窓を眺める。車が二台地を這う。「運転手は誰だろう。先に出て行った人かな、僕を気遣ったのか…

エピローグ 1-2

「手付かずの石柱は、ありましたね?」「ええ、はい。どーんと二M近くのが一点。これから取り掛かるつもりだったんでしょう。大まかなあてというんでしょうか、線が書き込まれました。石材の価格は業者に引取りをお願いする料金とつりあうかどうか、それな…

エピローグ 1-1

八月下旬 「A市界隈の案件はもうよろしいんですか?あっと、その前に、車、ありがとうございました」「有意な行動を選択したまで、こう言っては何ですが鈴木さんのためというよりかは、あの人に会いたいから、かな」「聞こえますよ、この距離でも筒抜けです…

蓬 麻中ニ生ジヨウト助ケナケレバ曲ガリクネル 自ズトハ偽リ 4-4

※ 作業日誌 [日時]:八月 [時刻]:午前八時 [天候]:晴れ 止まっていながら躍動をありあり想像させる、あの人から学びました。せっせと槌を振る私には見向きもせず膝の接触を契機に慌てた、本望かもしれない、見入られた対象であったのだから。不完全…

蓬 麻中ニ生ジヨウト助ケナケレバ曲ガリクネル 自ズトハ偽リ 4-3

私がミルクティーを提供したのち煙草に火をつけたことは三人の男たちは席をはずしていたのだ、もちろんあずかり知らぬ。これは私と少女との二人だけの記憶。 許可を取ったから、これで満足いただけるものと思います。 美弥都は二週間ぶりに勤め先のドアをく…

蓬 麻中ニ生ジヨウト助ケナケレバ曲ガリクネル 自ズトハ偽リ 4-2

そうおそらく退出の記録はシステムに組み込まれてはいない。驚くことでもありませんよ、利用を終え部屋を出たあなたの行動はここで休むか自室に戻るか、建物を離れる。フロントには退出の記録が残る。それで管理は行き届くのですよ、リゾート、というホテル…

蓬 麻中ニ生ジヨウト助ケナケレバ曲ガリクネル 自ズトハ偽リ 4-1

ぴらひらと分厚い業務日誌を飛び出す紙を鈴木は目ざとく見つけた、到着までに通過する信号機は残す三機。一行目を読み進めた直後に鈴木は「聞いてしまって良いのか?」、と美弥都個人に送られた手紙に動揺を見せた、無意味なクラクションが短く鳴った。警察…

蓬 麻中ニ生ジヨウト助ケナケレバ曲ガリクネル 自ズトハ偽リ 3-3

槌をタオルで巻き意識を失わせた、不意打ちですからよける暇もなかった。そこへ兎洞さんが居合わせ有様を視界に捉えてしまう。もしかすると彼女も同様の仕打ちを受けていた、視覚欠損の秘密を握られていたのかもしれません、ゆすりですね、ぱっと女性二人に…

蓬 麻中ニ生ジヨウト助ケナケレバ曲ガリクネル 自ズトハ偽リ 3-2

「はい、そのほかの皆さんへは無言に耳を貸すと受け取ります。会社の行く末を担う、舵取りを任された取締役たちの半数を社長の親族で固めるこのホテルは同族企業である、一人目の被害者は社長の親族でした、あまりにも隠蔽工作が周到なので危険を承知で十和…

蓬 麻中ニ生ジヨウト助ケナケレバ曲ガリクネル 自ズトハ偽リ 3-1

忙しない上下動が玉に瑕、悪路では褒められた性能なのだろう、環境によるのか。適材適所、万能でごまかしが通じる論理。目には見えなくなったものの自宅に帰り鏡を見れば顔の汚れは日常生活のそれを上回っているに違いない、海沿いの港湾を遠ざかり車は走る…