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 座面を伝わる振動の程よい刺激が目立ち、小川安佐の無鉄砲な敵陣突破は訪れたはずの無言を買い取れた。I市の南部、西は時を担う浮島と日本海、北北西、北北東に連山が居並び、真北に盆地を見る。残る地域は平野部と起伏は少ない、電車が中心部を通る、町の立ち姿は過去を引、次ぐ。が、無人駅はeuropeの息吹を醸もし、砂の国は城、黄土色の外壁に目立つギリシャ数字の時計が飾る、私だけが奏でる、異国の唱えごとが聞こえてしまう、際立ち頭一つ空間と共に抜き出た駅舎。bus乗り場、

taxの塊、一般車両を混ぜた。敷地内に信号機の点滅、人は穏やか。駅の筋向いに百貨店。丸く一つ角の取れた大きな箱、垂れ幕にセールの文字、世界大会出場を祝う言葉、歩道橋が二つをつなぐ。もう一つ。全景を遮る駅手前、百貨店と高さの揃うビルへ伸びていた。我ながら覚えている。雪を止めた青空と比べようも、土と埃、子供のころ思い描いた澄める都市を借りる、店長のようには、身の程は弁えて安佐の思い上がりと無垢な煌き、備えは要を迫られずに。 、大声で畑の者を呼ぶ様を代われようか。

「あれっ。聞こえていましたよね」劈く。聞こえたが、という意思の表れ。もしくはどうぞ遠慮なさらず、歓迎と無骨の合わせ技。

「いってみよう」

「ちょっと、お待ちよ。置いてかないでぇ」

 さくさく。店長と小川、轍を進んだ。ぬかるむ、泥を乾かせば時を過けて向かう。館山は一度振り返った。どこかへ消える、車が神隠しに遭う、予感はなにに基づくと。流画れる速度が落ちた、それとも風景を覚える、有り余る力の状態で私は畑を歩くのだからか。異世界、とは言える。腰丈に伸びた稲わらの出穂に前後と左右、八方か、囲われた記憶は、眠りの中の出来事だ。飛び跳ねて、手が自由に速度変えてく。感情が乗り移る小川の腕。

 そうか、館山はこのあたりの生まれ、彼女を前に交渉を、それが同伴の条件だったさ。いまだ背の向く人物、回り込み、二人の脇に並んだ。高高度、カラスは薄く曇る紛れた電線へ、休む。

「実家(いえ)に頼れ」

「死に至る種かもしれません」約束された品物が底をつきかけ、menu

はじゃが芋と玉ねぎ、いずれも糖度を引き出す措置に倉を出た生産に基づく。日を合わせ、植物は身を守る、欲しがろうとお客の要望は聞き流した。それに、「見たところ、生育は順調と伺えます。より低い確率を選……」

「平等だ」合わせた、隔たりを間、空気が振るう。

「綺麗」

「同感だ」

「店長」言葉通り、けれど君の抱く自象と私がとは、外であることを知覚、灰皿を見せ煙草を咥える。

 用を果たした、作業に戻る人物へ声が突く。

「独占を否定しなさい」自分でも驚く。二人の顔が横を刺した、だが本心を言えた。受け手を差し置いて。手順を誤った、過失。現在は常に過去を呼ぶ。今だってこのいまだって。是が非でも、願う私は呼ばれずにいろよ。

 かき分け、日の当たる高さに穂が戻り。「幾らを、頼りました?」上空にはやや低い、かといえ平行も不適。背の高い人へ橙へ傾(よ)る赤の体は訊いた。

「採取に手間をかけて家族を、作り手を養えるとでも?」

「リルカさん」言い過ぎ、鬼、そっぽ、否定、にょろにりょ、ははーつ、低頭、抑えて々、平常心。小川が私を宥める、関わりを過去に持つ、真意を貫く、隠し立ては無言に飲まれた開示に至る数々、つまり期せずして望みを私が叶えた。伸るか反るか、確証を探り、とん、館山は確信を得た。毛色こそ違え二人は稀に出会う素(はじまり)。そうだ、判断を渋った、回答を遅らせ背を向けていた、要因はなるほど私が元であるんだ。

「要望は?」麦わら帽子に隠れて、目が告げた。青年と素顔の成人女性、色の白く涼やかに。

 この目には植物とその他とを、一㏊ほどの農地をなかに、ご教授を、ここのほか畑はありませんか、と。

「誤解をされる。着いてきな」

「私の貢献ですよね、ねっ」安佐の求めは足音と消える。最寄りの農道に上がる、レンタカーはここで活躍、農作物を出荷に動く足と映った。

「行きますよお」後手の二人に若者が挟まる、彼らに続いた。

 手のつかず農地はどれも畑だと言い張る。互いの非に暮れて、山椒がところどころへ佇む、切って返す。平地へ坂を下る。量の取れず見限る、同様をつい先ほどの繰り返しに高い給与を支払います、私たちが面倒ならば、面白みに危険や異常、外、彼らも計算をこなす。

遅れて最後尾、途絶えた声のあと、小川安佐はその人が語る約束事を覚えようと声が出た。

 品目種、個数、重量。優先度に応じひと箱を単位、収穫物は届く。発送、到着はどちら刻限の定めによらず。作物がそれを許さない。変更は断じて受け付けられよう、締結に解除、再契約の手順を踏め。通信機器は住まいの張り付く一台に頼り、火急、速やかは取られる時を繰り返せば。大いに結構、それら消費者の財産に売り手が口を出せようか。一言、種がもたらす恩恵と被害は個人に帰属する旨了承をしたものと。保障の限りは農作物に。

 ヒキタミツキは建物へ、振り仰ぎ向かった。固定回線を引く時代遅れの現実をいつでも縁を、「既に」かもしれない。見限る。聞こえてきそう。店長が前を歩くのだから、ついそれに引き寄せられて、言い訳だとは理解に理性は働く、太陽に隠れた月が端に浮かぶ。じわり、ぬめりを帯びた肌をぬぐい、平静と過剰を追った。

 一aと農道を続き北北東は防砂林の保護の下、朽ちて居場所をそれらと気に合せ古びた小屋が目に入る。物質は、電信柱を筆頭に思いつく縦長の造りものと言えば、家と田畑を守る林か地に足のついた挟山なのさ、館山が意識を外す機会へ

、舞い込んだ。

「ここで死体が見つかった」呆気にとられ、小川は理解にままならず、半歩後ろに止まる店長は心の準備に肖る。「時は新月

「つかぬことを伺いますけど、黙っていても良かったのでは?」小川はヒキタミツキのためを思い、望むなら発表を聞いておりませんよ、しらばっくれる構えを示した。ねえ、と店長への同意が確たる証拠である。

「知らぬことを知らず、知ることを知りもせず」倍音。店長とヒキタミツキの声が読経のよう上がった。言葉の意を小川が尋ねる開きかけた口の動きを超える、店長は、「顧みない人と向き合って意味のあるか、時を待てば良い」

「耳が痛い。おっと目の上があいたた」小川は咳を一つ。救いを求めた眼差しは跳ねのけてしまおう、安佐に構うより私には大ごとが控える。取り付けたい了承を残す、両親に実家に入れてなるもの、死守、私はまだあのひとの近くにいたい。

「人から養分を採れた野菜と土からのそれと、世間、いいえ個人の頭は食べ物とおなかを満たす摂取量、満腹でいっぱいです」「死体は現れた、今日は昨日と相似であるか?」語尾は高くかすれ、「月は昇る」

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 座面を伝わる振動の程よい刺激が目立ち、小川安佐の無鉄砲な敵陣突破は訪れたはずの無言を買い取れた。I市の南部、西は時を担う浮島と日本海、北北西、北北東に連山が居並び、真北に盆地を見る。残る地域は平野部と起伏は少ない、電車が中心部を通る、町の立ち姿は過去を引、次ぐ。が、無人駅はeuropeの息吹を醸もし、砂の国は城、黄土色の外壁に目立つギリシャ数字の時計が飾る、私だけが奏でる、異国の唱えごとが聞こえてしまう、際立ち頭一つ空間と共に抜き出た駅舎。bus乗り場、

taxの塊、一般車両を混ぜた。敷地内に信号機の点滅、人は穏やか。駅の筋向いに百貨店。丸く一つ角の取れた大きな箱、垂れ幕にセールの文字、世界大会出場を祝う言葉、歩道橋が二つをつなぐ。もう一つ。全景を遮る駅手前、百貨店と高さの揃うビルへ伸びていた。我ながら覚えている。雪を止めた青空と比べようも、土と埃、子供のころ思い描いた澄める都市を借りる、店長のようには、身の程は弁えて安佐の思い上がりと無垢な煌き、備えは要を迫られずに。 、大声で畑の者を呼ぶ様を代われようか。

「あれっ。聞こえていましたよね」劈く。聞こえたが、という意思の表れ。もしくはどうぞ遠慮なさらず、歓迎と無骨の合わせ技。

「いってみよう」

「ちょっと、お待ちよ。置いてかないでぇ」

 さくさく。店長と小川、轍を進んだ。ぬかるむ、泥を乾かせば時を過けて向かう。館山は一度振り返った。どこかへ消える、車が神隠しに遭う、予感はなにに基づくと。流画れる速度が落ちた、それとも風景を覚える、有り余る力の状態で私は畑を歩くのだからか。異世界、とは言える。腰丈に伸びた稲わらの出穂に前後と左右、八方か、囲われた記憶は、眠りの中の出来事だ。飛び跳ねて、手が自由に速度変えてく。感情が乗り移る小川の腕。

 そうか、館山はこのあたりの生まれ、彼女を前に交渉を、それが同伴の条件だったさ。いまだ背の向く人物、回り込み、二人の脇に並んだ。高高度、カラスは薄く曇る紛れた電線へ、休む。

「実家(いえ)に頼れ」

「死に至る種かもしれません」約束された品物が底をつきかけ、menu

はじゃが芋と玉ねぎ、いずれも糖度を引き出す措置に倉を出た生産に基づく。日を合わせ、植物は身を守る、欲しがろうとお客の要望は聞き流した。それに、「見たところ、生育は順調と伺えます。より低い確率を選……」

「平等だ」合わせた、隔たりを間、空気が振るう。

「綺麗」

「同感だ」

「店長」言葉通り、けれど君の抱く自象と私がとは、外であることを知覚、灰皿を見せ煙草を咥える。

 用を果たした、作業に戻る人物へ声が突く。

「独占を否定しなさい」自分でも驚く。二人の顔が横を刺した、だが本心を言えた。受け手を差し置いて。手順を誤った、過失。現在は常に過去を呼ぶ。今だってこのいまだって。是が非でも、願う私は呼ばれずにいろよ。

 かき分け、日の当たる高さに穂が戻り。「幾らを、頼りました?」上空にはやや低い、かといえ平行も不適。背の高い人へ橙へ傾(よ)る赤の体は訊いた。

「採取に手間をかけて家族を、作り手を養えるとでも?」

「リルカさん」言い過ぎ、鬼、そっぽ、否定、にょろにりょ、ははーつ、低頭、抑えて々、平常心。小川が私を宥める、関わりを過去に持つ、真意を貫く、隠し立ては無言に飲まれた開示に至る数々、つまり期せずして望みを私が叶えた。伸るか反るか、確証を探り、とん、館山は確信を得た。毛色こそ違え二人は稀に出会う素(はじまり)。そうだ、判断を渋った、回答を遅らせ背を向けていた、要因はなるほど私が元であるんだ。

「要望は?」麦わら帽子に隠れて、目が告げた。青年と素顔の成人女性、色の白く涼やかに。

 この目には植物とその他とを、一㏊ほどの農地をなかに、ご教授を、ここのほか畑はありませんか、と。

「誤解をされる。着いてきな」

「私の貢献ですよね、ねっ」安佐の求めは足音と消える。最寄りの農道に上がる、レンタカーはここで活躍、農作物を出荷に動く足と映った。

「行きますよお」後手の二人に若者が挟まる、彼らに続いた。

 手のつかず農地はどれも畑だと言い張る。互いの非に暮れて、山椒がところどころへ佇む、切って返す。平地へ坂を下る。量の取れず見限る、同様をつい先ほどの繰り返しに高い給与を支払います、私たちが面倒ならば、面白みに危険や異常、外、彼らも計算をこなす。

遅れて最後尾、途絶えた声のあと、小川安佐はその人が語る約束事を覚えようと声が出た。

 品目種、個数、重量。優先度に応じひと箱を単位、収穫物は届く。発送、到着はどちら刻限の定めによらず。作物がそれを許さない。変更は断じて受け付けられよう、締結に解除、再契約の手順を踏め。通信機器は住まいの張り付く一台に頼り、火急、速やかは取られる時を繰り返せば。大いに結構、それら消費者の財産に売り手が口を出せようか。一言、種がもたらす恩恵と被害は個人に帰属する旨了承をしたものと。保障の限りは農作物に。

 ヒキタミツキは建物へ、振り仰ぎ向かった。固定回線を引く時代遅れの現実をいつでも縁を、「既に」かもしれない。見限る。聞こえてきそう。店長が前を歩くのだから、ついそれに引き寄せられて、言い訳だとは理解に理性は働く、太陽に隠れた月が端に浮かぶ。じわり、ぬめりを帯びた肌をぬぐい、平静と過剰を追った。

 一aと農道を続き北北東は防砂林の保護の下、朽ちて居場所をそれらと気に合せ古びた小屋が目に入る。物質は、電信柱を筆頭に思いつく縦長の造りものと言えば、家と田畑を守る林か地に足のついた挟山なのさ、館山が意識を外す機会へ

、舞い込んだ。

「ここで死体が見つかった」呆気にとられ、小川は理解にままならず、半歩後ろに止まる店長は心の準備に肖る。「時は新月

「つかぬことを伺いますけど、黙っていても良かったのでは?」小川はヒキタミツキのためを思い、望むなら発表を聞いておりませんよ、しらばっくれる構えを示した。ねえ、と店長への同意が確たる証拠である。

「知らぬことを知らず、知ることを知りもせず」倍音。店長とヒキタミツキの声が読経のよう上がった。言葉の意を小川が尋ねる開きかけた口の動きを超える、店長は、「顧みない人と向き合って意味のあるか、時を待てば良い」

「耳が痛い。おっと目の上があいたた」小川は咳を一つ。救いを求めた眼差しは跳ねのけてしまおう、安佐に構うより私には大ごとが控える。取り付けたい了承を残す、両親に実家に入れてなるもの、死守、私はまだあのひとの近くにいたい。

「人から養分を採れた野菜と土からのそれと、世間、いいえ個人の頭は食べ物とおなかを満たす摂取量、満腹でいっぱいです」「死体は現れた、今日は昨日と相似であるか?」語尾は高くかすれ、「月は昇る」

4  170 

「О市署の、種田と言います」彼女は警察手帳を見せた、右の指は引継書を掲げる。「我々はI市警察の要請を受け捜査に当たる」

「警察の人とは、横柄な物言いではいやはや失礼を」半被、紫に袖口は白く縁取られ、太い線が衿にも縦は足元と伸びる。詰まった首は、息苦しさを超える日の暑さがもたらす吹き出す汗を選んだ。白く斑が短く刈られた頭に水は玉と浮く。

 ここを管理と使用を任された村の組合員と、声をかけた男は名乗った。片田久吉(かただきゅうきち)、職務質問に取り違えてか、こちらが中を伺う、不審者はこちらの方だろう。ゆだる、三十度を超えるならまだしも、昨夜は二十度を保ち朝を迎えたという、同伴する上司の熊田が車内に流すaudioより得られた、彼が口を開くはずはそう、目の前の男が嘘をつきました、本名ではありません、とっさのことで気が動転してつい父親の名を口が滑ったのです、打ち明けるほど現実味の薄い。

 赤のトタン屋根に玄関を右を空け、建物は構える。正対、目線の平らに今一度なかへ注ぐ。土間に五十㎝弱の小上がりが奥、丸々背中を読んだ。話し声を耳にした、火急ならばとっくと対面の向け、私らを見下す視線をとれる。

 熊田が名乗り、高いところからと一段下がるを制し、彼は小上がりの間中、座卓を囲むよう促した。いそいそ、より小柄な体躯が際立つ。背の高い種田が視点、他者が声に出さずいう。やめておこう、彼女は敷かれた紫色の座布団に膝を進めた。

 低くうなる駆動は冷蔵庫が主、持ち手の付いた大小二枚の扉は入り口の対角、部屋の角に位置する。ぐるり、首を回す。天井は煤か雨漏りか、黒ずみ板はここは屋内、隙間のあって光の雨の漏れてか、現役を訴える。畳は張り替えた様子であることから、雨漏り除外された。lamp 積もる埃に笠、電球との内側は白い、黒の塗装がはがれて視えた。左の後ろ、畳に添えて亀の首、室内へ入り十時の向き、通路の先はおそらく隣のsiloへ通じる。飼料の買い手がおり、現在は、この先東を行き放牧地が目に届くか。

 振るまわれたお茶を熊田は一口、言葉を続けた。丸まり、彼の対面に片田が座る。

「隔週、寄合いを開く。会合の決まりは守られていないようですね。二月に一度、いずれも書き手は片田さんがひとり。あまりに杜撰、他の方々が仕事の手を抜いたと、いうことでしょうか」

「言っていいのかな、これは」取り出すtowelが額と鼻の水滴を拾う。片田は愛想笑い、真顔へ戻る際人でも世の者でもない顔を挟む。「隠し事は苦手でしてね、頭もそれほど良くはない。だったら記録をここに、皆の判断を仰ごうじゃないかと」会合の議事録は書き手を務め、権限の得る。当番制を敷き、平等・公平を喫す。各自は回、覚えを保管する。求めを許諾、閲覧者は所有者の是非に従う。会合の決議は全会一致を採れば内容は開けずと明らか。道のりを知りたくはないのだそう、違って当然、ただいまは意見が合うのだから、長い目の悠長が善とされる、遅れた時代をここは送るらしい。

「生前、死者とあなた方は交流を持てた。いくつか記述が見て取れます」熊田は利き目を正面へ投げた。もう片方は遅れ瞼を上げる。

「一年ほど前でしょうか、はてさてどこから聞きつけたのかも」片田が言う。ふらりここへ訪れた観光客風の女性がついつい長い、暇する機を逃せ、もしや狙いであったか、ずるずる一週間が十日、十日は二十日へ、ひと月より数か月、季節は次へ移ろい彼女は町に住まうようになった。

「種」熊田はいう。「金と並び称される貴重な財産です。所有を許した経緯を聞かせてください」あけ放たれて扉は抑え枠と突きては離れ、伸びた髪が先と踊った。気の迷い、冷たく流れを熱が埋めた。「憚られる」、もとつ々結び、耳がただ聞いた。

 

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「О市署の、種田と言います」彼女は警察手帳を見せた、右の指は引継書を掲げる。「我々はI市警察の要請を受け捜査に当たる」

「警察の人とは、横柄な物言いではいやはや失礼を」半被、紫に袖口は白く縁取られ、太い線が衿にも縦は足元と伸びる。詰まった首は、息苦しさを超える日の暑さがもたらす吹き出す汗を選んだ。白く斑が短く刈られた頭に水は玉と浮く。

 ここを管理と使用を任された村の組合員と、声をかけた男は名乗った。片田久吉(かただきゅうきち)、職務質問に取り違えてか、こちらが中を伺う、不審者はこちらの方だろう。ゆだる、三十度を超えるならまだしも、昨夜は二十度を保ち朝を迎えたという、同伴する上司の熊田が車内に流すaudioより得られた、彼が口を開くはずはそう、目の前の男が嘘をつきました、本名ではありません、とっさのことで気が動転してつい父親の名を口が滑ったのです、打ち明けるほど現実味の薄い。

 赤のトタン屋根に玄関を右を空け、建物は構える。正対、目線の平らに今一度なかへ注ぐ。土間に五十㎝弱の小上がりが奥、丸々背中を読んだ。話し声を耳にした、火急ならばとっくと対面の向け、私らを見下す視線をとれる。

 熊田が名乗り、高いところからと一段下がるを制し、彼は小上がりの間中、座卓を囲むよう促した。いそいそ、より小柄な体躯が際立つ。背の高い種田が視点、他者が声に出さずいう。やめておこう、彼女は敷かれた紫色の座布団に膝を進めた。

 低くうなる駆動は冷蔵庫が主、持ち手の付いた大小二枚の扉は入り口の対角、部屋の角に位置する。ぐるり、首を回す。天井は煤か雨漏りか、黒ずみ板はここは屋内、隙間のあって光の雨の漏れてか、現役を訴える。畳は張り替えた様子であることから、雨漏り除外された。lamp 積もる埃に笠、電球との内側は白い、黒の塗装がはがれて視えた。左の後ろ、畳に添えて亀の首、室内へ入り十時の向き、通路の先はおそらく隣のsiloへ通じる。飼料の買い手がおり、現在は、この先東を行き放牧地が目に届くか。

 振るまわれたお茶を熊田は一口、言葉を続けた。丸まり、彼の対面に片田が座る。

「隔週、寄合いを開く。会合の決まりは守られていないようですね。二月に一度、いずれも書き手は片田さんがひとり。あまりに杜撰、他の方々が仕事の手を抜いたと、いうことでしょうか」

「言っていいのかな、これは」取り出すtowelが額と鼻の水滴を拾う。片田は愛想笑い、真顔へ戻る際人でも世の者でもない顔を挟む。「隠し事は苦手でしてね、頭もそれほど良くはない。だったら記録をここに、皆の判断を仰ごうじゃないかと」会合の議事録は書き手を務め、権限の得る。当番制を敷き、平等・公平を喫す。各自は回、覚えを保管する。求めを許諾、閲覧者は所有者の是非に従う。会合の決議は全会一致を採れば内容は開けずと明らか。道のりを知りたくはないのだそう、違って当然、ただいまは意見が合うのだから、長い目の悠長が善とされる、遅れた時代をここは送るらしい。

「生前、死者とあなた方は交流を持てた。いくつか記述が見て取れます」熊田は利き目を正面へ投げた。もう片方は遅れ瞼を上げる。

「一年ほど前でしょうか、はてさてどこから聞きつけたのかも」片田が言う。ふらりここへ訪れた観光客風の女性がついつい長い、暇する機を逃せ、もしや狙いであったか、ずるずる一週間が十日、十日は二十日へ、ひと月より数か月、季節は次へ移ろい彼女は町に住まうようになった。

「種」熊田はいう。「金と並び称される貴重な財産です。所有を許した経緯を聞かせてください」あけ放たれて扉は抑え枠と突きては離れ、伸びた髪が先と踊った。気の迷い、冷たく流れを熱が埋めた。「憚られる」、もとつ々結び、耳がただ聞いた。