コンテナガレージ

サブスク・日常・小説の情報を発信

自作小説-WとG

「性格をまとめましょうか。疲れます」「まったく。一体に一人って誰が決めたんだか」「いつも、あなたは怒る。疲れるでしょうね」「あなたの前でだけよ。他のお客さんには美しい私を見せ付けているの、知ってて?」「いえ、僕が来るときはいつも空いてます…

「あら、お久しぶりじゃないの」「どうも」「いつもタイミングを見計らってたりして、どうぞ。荷物は?」「手ぶらです」「男の人っていいわよね」「うらやましそうには聞こえませんね」「あら、やだ。その性格は健在だこと」「生まれつきだとあきらめてます…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 6~無料で読める投稿小説~

タイアップの曲はそこその売り上げを伸ばしているらしい、受注生産の形式を取ったタイアップ曲のCDは注文数に応じた工場の稼動が三回目の生産工程を次に控えているそうだ。加えて、車の生産は月間販売台数の一位を獲得したとのこと。問い合わせの件数から…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 6~無料で読める投稿小説~

一週間、曲を寝かせた。 外は軽く凪いだ海、埋め尽くす人の群れは鳴りを潜める、今日は週末だっただろうか。アイラ・クズミは曜日の感覚を切り捨てる、人の流れが曜日をほぼ正確に教えるのだ。開けた空間の登場は早い。今日は祝日なのだろう、と彼女は最寄り…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 5~無料で読める投稿小説~

「死因まで私が特定をすることもないでしょう。精神的バランスを崩した者には、複合的な疾患が伴うとも聞く。後一押しが機内の荷物棚、遮蔽された暗室、密閉でしかも気圧の低い、揺れる非日常は、ナイフの刃先でもって、繋いだ糸を切断するには十分な接触で…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 5~無料で読める投稿小説~

カワニの動きが見事に止まる。アイラの視界は物体が止まる。「日常的に顔を合わせる者同士は互いの変化によく気がつくようで、実に多用な変化を見逃す。女性の容姿を男性は気に留めない、ありきたりな男女間の日常ですね。被害者はこれを応用したのだと、私…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 4~無料で読める投稿小説~

「フライト当日、六十番ゲートに着いた最終便の到着時刻は?」アイラは尋ねた。「二十時半」「私たちの搭乗は二十ニ時半。約ニ時間、ゲート内に居座り、被害者はまんまと搭乗を成功させた。それゆえ、役目を終えたゲート内は翌日の到着便まで人の出入りが止…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 4~無料で読める投稿小説~

「返答が答えそのものです。保安員に予期せぬ事態が起きた場合に備えた代役が鈴木さん、あなた方は招かれざる客であった。犯人の思惑は保安員一人か鈴木さんの登場を想定していたでしょう、複数人刑事が揃ってはその場を掌握しかねない。あくまでハイグレー…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 4~無料で読める投稿小説~

「だから、なに?」「手際の悪さを言い訳にエコノミーフロアで死体を見せ付けるべきだった」アイラは足を組んだ。コーヒーを一口。幅をきかせる酸味。「渡米の日時、ライブハウスの使用不可、ツアー企画のキャンセル。行動の先読みを搭乗にこぎつけたところ…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 4~無料で読める投稿小説~

「エコノミーのお客とチケットを交換した、またはまったく別の人間にチケットを売り、搭乗を譲った」種田は疑問を投げた。「エコノミー席のチケットはパスポートの発行期日が数ヶ月以前を基準に販売許可を設けた。転売を防ぐ目的です、新規発行のパスポート…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 4~無料で読める投稿小説~

「確認します」もう一台、端末を彼は取り出す、鞄がバランスを失って倒れた。「……販売数と搭乗者数、決済の人数は、共に、同数で処理されてます」「保安員を名乗る十和田、という人物はどのように登場を可能としたのか。彼も事前の登録をたまたま済ませてい…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 4~無料で読める投稿小説~

待ち焦がれた顔で出迎えを受けた、しばらくさきほどを離れた、簡易な食事を食べた、遠慮なく差し入れを摘んだ、驚かれた、昼食を抜いた事実を告げた、もっともだ、ありえない、たまにある、朝食は食べる、ジュースは飲んでるかも、差し入れも、甘いものそう…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 3~無料で読める投稿小説~

一人納得したアイラはコーヒーを、そして目の前のうすべったい薄茶色の栄養を口へ運んだ。「僕らのところへ移れたとしても」カワニが確かめるように呟く、視線はテーブルの何もない天板に落ちる。「演奏前の、死体を見つける明るい時間帯の出入りにはやっぱ…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 3~無料で読める投稿小説~

「搭乗前、空港の喫煙室で彼女たちに私は会いました、声をかけられた、その時が仕掛けの始まりだった」アイラはエンジニアの椅子に浅く腰をかけた、言葉を吐く。「振り返ると、私たちの渡米を耳に入れる一段階前に行動予測は立てていたとの見方が可能です。…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 3~無料で読める投稿小説~

カワニはしっかり内容物を流し込む。「警視庁の事件担当の刑事さん、種田さんでしか、その人から情報がありました」 アイラ・クズミの所属事務所プリテンスは情報提供を条件に警察と取引を行っていた、彼女の指示である。警察がどこまで事件に関与しどこまで…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 3~無料で読める投稿小説~

「皆さんはその方を見ましたか、会って話をしたのでしょうか?」「あっと、そう、ですよね。居眠りはアイラさんの前提でした」大げさ、カワニの動作は余計な労力そのもの。もっと効率的な動きなら、数時間の余力を一日に残せる。「侵入者はあなた方による監…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 3~無料で読める投稿小説~

宣伝効果を大層喜ぶ、ぜひまた機会があれば。担当者の名前は忘れた。飼い主の帰宅に飛びつく小型犬のように飛び跳ねる電話口の音声だった。最悪にして、幸い。退出するカワニが呼び止め、たまたま休憩とコーヒーの補給を兼ねる作業を中断した彼女へ端末が差…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

女性事務員が現れ、今度は種田が間髪要れず退出を言い渡した。またしても、女性事務員はあっけに取られ、顔を引っ込める。威圧による支配は浅ましい行為だ、だがこの瞬間は譲れない。 勝手に終わらせる?笑わせるな。事象には必ず補う理由が存在する。あいま…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

トン、判が押される。「定期公演のライブハウスの設備等に起因した利用不可」 あの三名以外、特に十和田を含むエコノミーフロアの乗客にかかる疑いを私たちは捨て切れてはいない、 そこを突くのか、 やめろ、 聞かせろ、 この人は犯人の特定を言い渡すつもり…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

残り少ない部長の滞在、種田は質問を続けた。「どうぞ、続きを。あの方は見回りに夢中、害はありません」「搭乗前に彼女たちと顔を合わせた、喫煙室でアイラ・クズミは呼びかけられた、と話していたんだ」直接尋ねたのか、部長も都内にいた、ということか見…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

勝手な想像力が働く、ケースは二つ存在しなくてはならない、との思い込みに無意識に応えていた。ようするに、死体を運ぶケースとアイラ・クズミの予備のギターケースは異なるルートでハイグレードエコノミーフロアに到達、荷物棚に運び入れられた。どちらも…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

トレーの高さは可変式。不ぞろいな捺印済みの書類をどしどしとお構いなしに部長の右手は送る。灰皿と袖の接触は絶妙な距離が保たれる、対物処理の間隔機能は非常に優秀。空間を把握する能力に長じた人物はおよそその他の領域にも高い能力を発揮する、という…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 1~無料で読める投稿小説~

「フロアの荷物棚にそれはあった。機内に持ち込んだ一本とは別の予備のギター、搭乗前預けたギターは急遽出番が生じた荷物棚に収まる一本。もう、私が何を言うべきかは予測できるだろう」部長はそこで言葉を切ってしまう。それどころか、会話まで止めた。呼…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 1~無料で読める投稿小説~

「大谷奈緒は意識を失う前、緊急時のマニュアルに従いフロア内の人間に着席を命じた。そこへ機首側から姿を見せた田丸ゆかに対しても着席を同様に強要。そして大谷奈緒の卒倒によって着席の義務は解かれてたが、残された三名はアイラ・クズミがフロアに戻る…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 1~無料で読める投稿小説~

部長の話に耳を傾ける。「機内が死体の発見場所となった。争点は、いつ、どこで、誰に、どうして、どうやって殺され、荷物棚に担ぎ上げられてたのか、ということだった。これらは互いに補完関係にある、当然といえば当然。ところが、通常我々が目にする死体…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 1~無料で読める投稿小説~

「そう、みたいだな。ありやっ、朱肉が乾いてる」 種田は指差す。「引き出しに予備があります」「そうか、そうか」 迷いのない打音が蘇る。「大事な時にばっかり用事ができてしまうんですね、部長は」腰に手を当てる鈴木、写真を何十枚と幼少期に取られた経…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 1~無料で読める投稿小説~

汚れを取る手袋を仕舞い、冬物のコートをクリーニングに出す。来年シーズンまで店に預ける。異動の辞令が降りた時に思い出せるかどうか、取りに行く手間を避けるかもしれない。 廃業を成し遂げるにはタイミングが課題である。預かった洋服を来期の到来そのと…

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 6~無料で読める投稿小説~

~無料で読める投稿小説~6 連綿と観客を揺り動かす音色が途切れた。ぷっつりと。 てんやわんや、スタッフたちが情報を怒鳴り合って交換。腹をくくり途切れた夢見心地の復旧に一丸となるという点では現時点が最高潮、といえる。停電と同時に端末の規制が解…

帰国便 機内 瑣末な出来事と現象~無料で読める投稿小説~

君村ありさの手紙 ホテルのメモ用紙 中央下部にホテル名と建物のイラスト「雨のちに僅か差し込み今日利ある 赤唐檜そこのあなたは木霊して 高波の合間に覗き菊人形 行き縋り点と銭とは私にも 意味を知る私は願う白くあれ 入りの口後姿は誰ぞみる 好の縁戯れ…

帰国便 機内 瑣末な出来事と現象~無料で読める投稿小説~

山本西條の手紙は水色の罫線が目に鮮やか、間隔は狭く自由の女神がうっすら印字される。全体の色調は罫線より薄い水色。「"拝啓"は柄じゃないんで割愛する(使い方がいまいち分からんが本音)。筆を取ったのはこれがはじめてでね、読みにくさはどうにかこう…