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2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 3~無料で読める投稿小説~

「搭乗前、空港の喫煙室で彼女たちに私は会いました、声をかけられた、その時が仕掛けの始まりだった」アイラはエンジニアの椅子に浅く腰をかけた、言葉を吐く。「振り返ると、私たちの渡米を耳に入れる一段階前に行動予測は立てていたとの見方が可能です。…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 3~無料で読める投稿小説~

カワニはしっかり内容物を流し込む。「警視庁の事件担当の刑事さん、種田さんでしか、その人から情報がありました」 アイラ・クズミの所属事務所プリテンスは情報提供を条件に警察と取引を行っていた、彼女の指示である。警察がどこまで事件に関与しどこまで…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 3~無料で読める投稿小説~

「皆さんはその方を見ましたか、会って話をしたのでしょうか?」「あっと、そう、ですよね。居眠りはアイラさんの前提でした」大げさ、カワニの動作は余計な労力そのもの。もっと効率的な動きなら、数時間の余力を一日に残せる。「侵入者はあなた方による監…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 3~無料で読める投稿小説~

宣伝効果を大層喜ぶ、ぜひまた機会があれば。担当者の名前は忘れた。飼い主の帰宅に飛びつく小型犬のように飛び跳ねる電話口の音声だった。最悪にして、幸い。退出するカワニが呼び止め、たまたま休憩とコーヒーの補給を兼ねる作業を中断した彼女へ端末が差…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

女性事務員が現れ、今度は種田が間髪要れず退出を言い渡した。またしても、女性事務員はあっけに取られ、顔を引っ込める。威圧による支配は浅ましい行為だ、だがこの瞬間は譲れない。 勝手に終わらせる?笑わせるな。事象には必ず補う理由が存在する。あいま…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

トン、判が押される。「定期公演のライブハウスの設備等に起因した利用不可」 あの三名以外、特に十和田を含むエコノミーフロアの乗客にかかる疑いを私たちは捨て切れてはいない、 そこを突くのか、 やめろ、 聞かせろ、 この人は犯人の特定を言い渡すつもり…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

残り少ない部長の滞在、種田は質問を続けた。「どうぞ、続きを。あの方は見回りに夢中、害はありません」「搭乗前に彼女たちと顔を合わせた、喫煙室でアイラ・クズミは呼びかけられた、と話していたんだ」直接尋ねたのか、部長も都内にいた、ということか見…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

勝手な想像力が働く、ケースは二つ存在しなくてはならない、との思い込みに無意識に応えていた。ようするに、死体を運ぶケースとアイラ・クズミの予備のギターケースは異なるルートでハイグレードエコノミーフロアに到達、荷物棚に運び入れられた。どちらも…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 2~無料で読める投稿小説~

トレーの高さは可変式。不ぞろいな捺印済みの書類をどしどしとお構いなしに部長の右手は送る。灰皿と袖の接触は絶妙な距離が保たれる、対物処理の間隔機能は非常に優秀。空間を把握する能力に長じた人物はおよそその他の領域にも高い能力を発揮する、という…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 1~無料で読める投稿小説~

「フロアの荷物棚にそれはあった。機内に持ち込んだ一本とは別の予備のギター、搭乗前預けたギターは急遽出番が生じた荷物棚に収まる一本。もう、私が何を言うべきかは予測できるだろう」部長はそこで言葉を切ってしまう。それどころか、会話まで止めた。呼…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 1~無料で読める投稿小説~

「大谷奈緒は意識を失う前、緊急時のマニュアルに従いフロア内の人間に着席を命じた。そこへ機首側から姿を見せた田丸ゆかに対しても着席を同様に強要。そして大谷奈緒の卒倒によって着席の義務は解かれてたが、残された三名はアイラ・クズミがフロアに戻る…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 1~無料で読める投稿小説~

部長の話に耳を傾ける。「機内が死体の発見場所となった。争点は、いつ、どこで、誰に、どうして、どうやって殺され、荷物棚に担ぎ上げられてたのか、ということだった。これらは互いに補完関係にある、当然といえば当然。ところが、通常我々が目にする死体…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 1~無料で読める投稿小説~

「そう、みたいだな。ありやっ、朱肉が乾いてる」 種田は指差す。「引き出しに予備があります」「そうか、そうか」 迷いのない打音が蘇る。「大事な時にばっかり用事ができてしまうんですね、部長は」腰に手を当てる鈴木、写真を何十枚と幼少期に取られた経…

論理的大前提の提案と解釈は無言と一対、これすなわち参加権なり 1~無料で読める投稿小説~

汚れを取る手袋を仕舞い、冬物のコートをクリーニングに出す。来年シーズンまで店に預ける。異動の辞令が降りた時に思い出せるかどうか、取りに行く手間を避けるかもしれない。 廃業を成し遂げるにはタイミングが課題である。預かった洋服を来期の到来そのと…

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 6~無料で読める投稿小説~

~無料で読める投稿小説~6 連綿と観客を揺り動かす音色が途切れた。ぷっつりと。 てんやわんや、スタッフたちが情報を怒鳴り合って交換。腹をくくり途切れた夢見心地の復旧に一丸となるという点では現時点が最高潮、といえる。停電と同時に端末の規制が解…

帰国便 機内 瑣末な出来事と現象~無料で読める投稿小説~

君村ありさの手紙 ホテルのメモ用紙 中央下部にホテル名と建物のイラスト「雨のちに僅か差し込み今日利ある 赤唐檜そこのあなたは木霊して 高波の合間に覗き菊人形 行き縋り点と銭とは私にも 意味を知る私は願う白くあれ 入りの口後姿は誰ぞみる 好の縁戯れ…

帰国便 機内 瑣末な出来事と現象~無料で読める投稿小説~

山本西條の手紙は水色の罫線が目に鮮やか、間隔は狭く自由の女神がうっすら印字される。全体の色調は罫線より薄い水色。「"拝啓"は柄じゃないんで割愛する(使い方がいまいち分からんが本音)。筆を取ったのはこれがはじめてでね、読みにくさはどうにかこう…

帰国便 機内 瑣末な出来事と現象~無料で読めるミステリー小説~

day 1 先週かな?大変失礼な行動に出てしまった、お詫びします。どうかしてしたんだよね。思い出して青ざめたんだ。図々しいだろうし、私を訴える権利があなたにはある。もし許されるんだったら、そのぐらいの気持ち。突っぱねてもいいだろうから。まあ、あ…

帰国便 機内 瑣末な出来事と現象~無料で読めるミステリー小説~

「私にですか?」「お断りをしたのですが、どうしてもと、知り合いだから、とおっしゃるもので……」眉根を寄せる客室乗務員田丸ゆかは非礼を承知で、しかし託されたお客にもそれなりに丁重に扱う義務があるらしい。「返事を期待しないこと、手紙の始末は私の…

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 5~無料で読めるミステリー小説~

ガラス張りの喫煙室越しに、薄く曇るシャンデリアを眺めた。 何かのために殺されたのだと仮定すると、掘り起こしてはならないのかもしれない……。 三本目。 これを摘みかけると、人が飛び込んできた。厄介な場所への誘い。 壇上で、挨拶をした。手短に済ませ…

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 5~無料で読めるミステリー小説~

「彼の成り立ちは戦後の復興期に事業を起こし、歴史が動き出しただろう?資本主義のベースを工場機械の製造とその機械となる材料、素材の加工だ、世界での生き残りにはまず体力の増強が求められた。生活が潤うと人は次のステージを目指す、まだまだ列強大国…

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 5~無料で読めるミステリー小説~

駅。端末は最短のルートを教える。複雑に入り組む都内を衛星の頼りなしでは歩くことがままならない、失われる機能はいずれ感覚器官の変質につながり、その他の機能で補う進化の道をとるか、はたまた退化を選ぶのか、アイラ・クズミはビルと住宅地が押し合い…

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 4~無料で読めるミステリー小説~

写真はすぐさまリュックにしまわれた、チャックも閉まる。「死体の人物の身元は依然として明らかになってはいない。一方あなたは知っている、表情は嘘をつかない」「参ったな。結構貴重な情報だと思うんです。そうやすやすと……」種田はすごんだ。男女の仲を…

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 4~無料で読めるミステリー小説~

「警護はもう終わったも同然です、脅迫状が届いた訳でもないですし、本人の神経が過敏になってるらしく、近くで見張っていることを近場の常駐のスタッフに君村さんを時々見張るよう頼んでおきました。多めに手渡したので、それなりに働いてくれるとは思いま…

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 4~無料で読めるミステリー小説~

K第二公園は都内の南西に位置、かつて大学だった校舎を含む構内に会場、ステージが組まれる。講義棟は正門を入り数百メートル先に点在する、建物の高さはまちまちである。複数の学部を要した大学、これでということが窺えた。構内図では正門を南に北東の隅…

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 3 ~ミステリー小説~

どっと、葉巻の煙が顔の周りを取り巻いた。髭の男性は紳士よろしくわずかに顔を振る、上下に、そして髭に隠れる小さい口を開く。「模倣、ははは、これは予見されましたな。対策はいわずもがなの放置、迎え受けるは精微と対応力にリーズナブルな価格。国内に…

犯人特定の均衡条件、タイプA・タイプB 3 ~ミステリー小説~

3 息遣いがそっくり跳ね返る歩道に二度目の気配を感じ一人であることをあきらめて認めろ、説得と教示をかき混ぜた町の息吹がビルの窓、建物のドアが吹きかけ押し出すかのようで、都内の春はひどく生暖かい。 指定された住所に到着し階段を上る。何者に反応…

JFK国際空港内 控え室 ~ミステリー小説~

最寄り駅。走る。暗い地下、古びた階段、かんかん、かつかつん、古風とは異なる趣。 風を味方に車両が颯爽、搭乗。 寄せる視線を跳ね返す、譲られた席はアキに譲る。 下車。駆け出す。スタジアム。野球観戦は人生において未経験だ。とりあえず、入り口らしき…

JFK国際空港内 控え室 ~ミステリー小説~

「事件についての質疑は終わりましたか?場を和ますブリッジにしては長く、そして多用が目立つ」「それではもうひとつだけ」色が変わった、気配のコントロールを身につける人物特有の重厚な威圧を放つ。「その若者は、突然始めたあなたの予期せぬツアー先行…

JFK国際空港内 控え室 ~ミステリー小説~

「一つ」アイラは指を立てる。「特定すべき証拠が見つかっている。二つ、死体発見の一報を受けたあなた方は空港で私たちの搭乗機を迎える時間内に確からしい証拠、あるいは確証に近い状況証拠を集め、検証を以って逮捕に踏み切る予定であった。三つ、これは…