コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

自作小説

ROTATING SKY 7-1

センセーショナルにメディアを賑わすかにみえた報道は、有名芸能人の飲酒喫煙騒動によって風向きを変えた。新聞では数日にわたって記事を掲載していたが、人々の関心はテレビのゴシップに花を咲かせる。被害を最小限に抑えた結果にM社の顔は綻んでいることだ…

ROTATING SKY 6-3

救急病院で処置を受けた理知衣音の目は大事には至らなかった。目を洗った事が幸いしたらしい。医者が言うには明日になれば視力は回復し目が見えるようになっている。しかし、何度か病院には通院してもらうとのこと。 視界は治療の目薬で更にぼやけている。理…

ROTATING SKY 6-2

男は微動だにしない。様子がおかしい、窓を開けてどけるように言おうとした刹那に、液体が目に飛び込んできた。咄嗟につぶったが対処が遅かった。 「うわっ、なによこれ」痛い、ヒリヒリと眼球を侵食するような痛み。男が動いた気配、体を掴もうと手を伸ばす…

ROTATING SKY 6-1

これまで守ってきたものが壊れていくようだ。刑事たちの来訪に、私は職場での居場所をなくしつつある。面と向かって警察が来た理由を聞いてこないだけでも、良しとしよう。 昼食の休憩時間に、上司に呼ばれた。警察と話をした会議室である。もう見られること…

ROTATING SKY 5-3

// 店内への搬入はガラス屋の登場を残すのみとなり、自分たちの仕事を済ませた作業員は帰っていった。作業時間は三時間弱。帰り際に、心遣いのコーヒーを配って渡した。 ガラス屋はそれから約二十分後にやって来た。すぐさま私が確認、取り付け作業に入った…

ROTATING SKY 5-2

明日、正確には今日の深夜から工事に着手する。金銭的な支払いは店舗が完成し、クライアントの納得が貰えてから残りの半分を受け取る。早朝までの活動時間であるが小さな店舗だけに一週間を完成の予定と、工務店と取り決めた。 正午になり昼食を勧められたが…

ROTATING SKY 5-1

// クライアントと約束がある日は、体が自然と目を覚ます。朝といっても日はすっかり昇り、カーテンの隙間から入った明かりが入室を催促しているようだ。打ち合わせで話す順序を起き上がったベッド、起き抜けの頭で反芻。大丈夫だ、見落としはない。 身支度…

ROTATING SKY 4-4

// 「つまり、他の人間が住んでいたってことですか?」相田が熊田にまとめた考えを投げた。 「何となくそう感じたんだ、確信はないよ」 「殺されたのは触井園京子ですよね?」鈴木が顎に手を当てて気難しそうに眉間に皺を寄せる。「そうか、彼女は触井園京子…

ROTATING SKY 4-3

// リビングの血は乾き、フローリングの奥に黒ずんで染み込む。熊田は血の跡を避けてカーテン傍のソファに回り込む。絞殺と刺殺のそれぞれに用いられた道具は現在も発見に至っていない。 「被害者は次の航空券を買っていただろうか」不意に熊田がつぶやいた…

ROTATING SKY 4-2

// 「怪しいですよ」口をすぼめて鈴木が反論する。 「世の中で発表されている事柄なんてどれも正面を切って正しいとは言いがたい。裏付けも信じられている理論や論理に基づいて確証がなされているのが現状だ。それらの基準となる仕組みを正しいと信じている…

ROTATING SKY 4-1

// 「大人が四人も乗るのは窮屈ですよ」熊田の新車に助手席に種田、後方熊田の後ろに鈴木、種田の後ろに熊田が陣取り、活気あふれる捜査員の命令を無視した行動が開始された。 事件を追い続けることは、自らの首を絞める事態を誘発すると自覚しての捜査継続…

ROTATING SKY 3-1

// 尾行は体力を消費する、とくに人混みの都会は相手に見つかりにくい反面、見失う確率も高い。部長は不来回生の自宅から彼を追っていた。不来は早朝から行動を開始した。部長は一人行動を予見して車で彼を追走する。ここ数日は深夜に帰宅し、翌日の午後に家…

ROTATING SKY 2-2

明かりが差してきてもビルに隠れて太陽の姿は見えない。冬の北国は室内での生活が自然と時間の大半を占めるから、日の光が差し込むと旧友に会ったみたいな顔を作ってしまう。 夕方、午後四時を回ったので、まとめた構想をスケッチブックにしたためて店のシャ…

ROTATING SKY 2-1

S市中心部、駅前通から外れてSS川を南下、大通りに行き着く手前をナビは示していた。中心部は交通量を一定に保つ目的で一方通行が多用されて、目的地には大きく回り道をしないとたどり着かない。もう一つの問題、駐車場所が見つからない。急遽、赤信号を利用…

ROTATING SKY 1-5

「そのようですね」 「無意味な質問はよしてください。からかっているのならもう終わりにしてください、仕事があるので」立ち上がろうとすると座るように男の刑事がなだめる。私は犬ではない、あんたたちみたいに時間を使えないの、もっと正確で決まりきった…

ROTATING SKY 1-4

「大学での学部は文学部ですよね?」 「はい」 「現在の職場とは関係がなさそうですね」 「不景気ですし、希望した会社や仕事に就けるような時代でないことはご存知でしょう」 「そうですね。では、先週、我々が訪問した日の午前中はどちらにいらっしゃいま…

ROTATING SKY 1-3

いつものように工場隣の駐車場に車を止めて出勤した。 更衣室のドアに手をかけた際に、呼び止められた。 「理知さん、ちょっといいかな」白い抗菌コートを着た上司が手招きする。皺の目立つ目立つ顔で呼んでいた。 「着替えてからでもいいですか?」上司の表…

ROTATING SKY 1-2

「起きてってば、ねえ、ねえったら、朝だよ」灰都は息を吸う。「七時二十分!」 頭が痛い。理知衣音は居間でそのまま寝てしまったようだ。灰都が仕度を完了させ、ランドセルを背負っている。 「何時?」 「七時二十分、ねえ、僕は大丈夫だけど、お母さん仕事…

ROTATING SKY 1-1

警察に事情を聞かれたのが一週間ほど前。あの人の死を聞いてきたっけ、もう忘れてしまった。警察の顔も覚えていない、女性が一人いたのは思い出せる。 今週も忙しかった。先週はようやく日曜に休みがとれたのに朝から灰都がくっついて離れない。買い物でもべ…

DRIVE OF RAINBOW 8-3

「そうだ」熊田が同意。 「触井園京子もM社の車で死んだ人物も繋がっているってことですか?」鈴木が高い声でいう。 「直接的な関係性は持たないが、連鎖的に影響し合っているとでも言うべきかな」 「手がかりがつかめそうな所だったのに、もう事件を調べ直…

DRIVE OF RAINBOW 8-2

熊田はドアを開けて廊下を通り、デスクには戻らず自販機でコーヒーを買う。管理官の隣にいた人物ははたして、給料に見合った働きをしているのだろうか、と熊田は考える。研修中の身かも知れない、ゆくゆくは彼が管理官となり現場を指揮する立場に成り代わる…

DRIVE OF RAINBOW 8-1

事件発生の二日後、新聞紙面はM社のリコールを報じた。無論、熊田たちが調べていた車種である。記者会見が開かれ、矢面に立たされた幹部と社長はお詫びと当該車両の早急な回収及び徹底究明に尽力をつくすと明言し、記者たちの執拗な揚げ足取りの、失敗を餌に…

DRIVE OF RAINBOW 7-3

「どのような事件です?」 「具体的には言えん。強いて言えば、凶悪な事件とでも言っておこうかな」 「それではあまりにも抽象的過ぎます」鈴木が首を振る。 「鈴木、お前そんな話し方だったか?」 「へ?おかしいですか」鈴木は空いている手で口を触る。 「…

DRIVE OF RAINBOW 7-2

相田はその間に、新しいタバコに火をつけた。缶コーヒーはあと二口で飲み終わる量、ここからは一口の量を減らすか。 口に苦味と仄かな甘味が届く。横なぐりで視界を遮っていた雪はパタリと止んで、空一面には絵の具をぶちまけたような青が広がっていた。窓の…

DRIVE OF RAINBOW 7-1

「何だお前たちしかいないのか。熊田は?」喫煙室に鑑識の神が姿を見せた。自分から動いたことがない、という噂の人物が直にお出まし。 「耳がついていないのか?」相田と鈴木はぽかんとあっけにとられた顔で現れた登場人物をとらえる。 遅れて相田が我に返…

DRIVE OF RAINBOW 6-3

「おまえ、ではありません」即座に訂正を求める。 「すまん」熊田はポリポリと頭を掻く。 気を取り直した種田は質問に答えた。「自殺か他殺か、あるいは自殺を手助けした他殺のどれかで、解答は三通りですね」 「コートを着ていた、荷物は車のトランク、室内…

DRIVE OF RAINBOW 6-2

「譲歩したな」ミラーに映る熊田の口角が微笑をたたえた。 「おそらくは断ったでしょう。刺してくれという願いを素直に聞き入れる人はまずいません」 「そもそも彼女には相田が事故車を追って辿り着いた。だが、その車は丹念に調べられていない」 「そうです…

DRIVE OF RAINBOW 6-1

新C空港で手がかりを得た翌日、種田は熊田とともに触井園京子の自宅に足を運んだ。雪の降り方は優しく、時折青空がのぞく陽気。見張りの制服警官と挨拶を交わした。熊田は外にとめられた被害者の車に鑑識から借りたキーを差し込こむ。種田は反対に回り後部座…

DRIVE OF RAINBOW 5

理知衣音は息子の灰都のお弁当を早朝から作り始めてかれこれ三十分が経とうとしていた。甘い卵焼きと唐揚げ、俵型のご飯に巻きつけた海苔、彩りと栄養を考えてほうれん草のおひたしに鰹節をふりかける。唐揚げは昨夜に味付けを済ませていたからあとは揚げる…

DRIVE OF RAINBOW 4-2

昨日は警察が来ていた。なんだか頼りがいがなさそうな刑事だったと記憶しているが顔はもう忘れてしまった。重要ではないんだろう。私がお金欲しさに細工を仕掛けるなんて馬鹿馬鹿しい。まったくもって稚拙な帰着だ。常套句の、関係者全てに話を聞いているな…