笑みがこぼれた、めずらしく私が笑う。
彼らにも伝わる、この場では彼らは疑いようもなく私である。
見えている、生きているが、現物はたまに。しかも、初見の演奏は無自覚に私の本能を呼び覚ましてくれる、感じ取ってくれるだろうか、どれだけが、反応を示すのか。
忘れてた、これは日本だけではないのか、世界に向けた配信だった。
視野を広げる必要性に迫られるかもしれないな。
体が自然とリズムを刻む。演奏ミスは気にしなくなった。
笑えている、感じ取れている、価値はこのひととき、よって美しくしなやかで華やかに気難しく、恥じらい多く、いとたくましく、いとおかし。
曲の終わり、最後に弾いた音の余韻をドラムが引き取って、ピリオド。
これだけのために、海を渡ってきた。無駄?そう無駄にこそ価値がある。
私は手を取り合った、私から、変わったのだ、言葉をなくしたからね、私でいられるんだ。
表紙の写真を取る。カメラマンがブース内へ、カンペの横でしゃがむ。
私を真ん中に、彼らが取り囲む、カメラマンがカウント、
スリー、ツー、ワン。
切り取った一場面が焼き付いた。