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熊熊熊掌~ゆうゆうゆうしょう 6 八月四日

 人と人成らざるモノの解釈を募りました。集計結果を待たず意見の歩み寄りや誤った解釈の訂正を諦めた私の振る舞いこそ、浅はかでしたの。代々伝わる教え、それで手一杯。ふさがる両手は卑しくも米袋を抱えておきたいのでしょうね、飽食とはいかにもいかにもその人たらしめる、体躯の隅々に及ぶ腹黒さを見せ付けてしまう。
 でしたらば、たとえ話なら彼らも耳を傾けましょう。大勢のうち一人でも意図を汲み取る方よ、現れてくれはしないのかしら。
「背中を光らせ銀ぎら銀ぎら川の生き物を捕まえるべく、ある男は川に丸太を投げ込んだ、一本、一本と川の片側は覆われた光届かぬくらい暗い夜が出来上がった。行き場を失う。ばしゃばちゃ生き物は、そちらへこちらへ、しまいには陸にぴょんこん揚がる。やたらめったら生き物はしたたか頭をつぶされて、男は歯を鳴らして喜んだ。あくる日もそのつぎも男は川の生き物をいじめたので、そのつぎの朝見かねた巨木が男に倒れたのでした、男は下敷きになって胸はぺちゃんこに潰れてしまった。次の次の雨上がりの朝、川の丸太はざぶんざぶんと、川下に押し出される。大雨の仕業です。つないだ、寄り添うさまを引き剥がしたのだ。男の頭は空の生き物に食べられた。小さな生き物いっぱいの小粒で固くてかさかさしたのがわんさかわんさか。こぼれた肉はちょうど川縁へ頭部からほろほろ、赤の粒と流れて踊った」