コンテナガレージ

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 老人を残して店を出た。外は曇り空に早代わり、風が雲を引き連れるように運ぶ。犬を連れた人物が足早に通り過ぎて、首輪に繋がるリードをぐっと喉に食い込ませ、躾を教え込んでいた。数歩遅れて本来の飼い主が心配そうに見守る。トレーナーに犬の扱いを習っているのだろう、パートナーであり、ペットであり、家族であり、外では迷惑をかけない性格を重んじる。それを自分に課す選択が頭にはないのだろうな、調月は哀れにそれらの物体が通りすがるのを見送った。足を、手に入れた土地に向けた。

 レストラン、ファミリー向けの大き目の駐車場を完備する飲食店の隣にもう一軒、奇抜な深い緑を基調としたログハウス風の建物を見つけた。国道沿い真後ろの一本道路を挟んだ向こう側が購入した土地である。表から見ると営業は終了し、建物は売りに出されていた。 

 調月は建物が取り壊されてない要因を、今後他の飲食店が出店を土地建物の所有者は望む、あるいは高値で取引されるためか、もしくは更地へ費用を拒んでいるかのどれかと目算をつけた。他の建物が建つ可能性は排除しておきたいものだ。調月は早急に建物ごと買い上げる方向で、看板の連絡先を端末に打ち込んだ。