コンテナガレージ

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ただただ呆然、つぎつぎ唖然 5

選択を誤った。
 キクラ・ミツキは、非常な出来事に身をさらしてしまった、と自覚を強めた。
 逆さま。こうもりの気分に浸った数秒前が懐かしい。揺らめき立つサリー・笠松。闇に溶け込んでもなお闇よりはほのかに明るい。虫に居場所を教えるような、誘う香りを放っていた。
 目が離せずに捉えっぱなし、ミツキの体を縛り付ける拘束具だろうか、腕に足、それと腰に食い込む。展開を尋ねようにも、聞いてしまったら最後、無残に受け入れるしか道が残されてなかったら。そう思うと、おいそれと気安く、エキセントリックな髪型をほめる一言でも行ってやろうか。いや、私の心象に手をかけた相手なのである、から、ああ、迷いが働いてしまう。呼吸もなんだか速くなってきた、悪い兆候。ただ、頭に血は上っていない。これは現実?あるいは見させられてる光景だろうか。全部が、私の見せ掛けじゃないのさ、この世界のあり方を忘れたのか、私。
 彼女は、内面に張り手を浴びせる。びっしりと積もる一面の白。見上げてるのか、正しい表現は……。
 息を呑む姿が、目の前に降り立った。サリーは拳銃を、こめかみが当然の射撃目標だといわんばかり、揺ぎ無い確信が物語っては、左右に口を引いた。ぐるぐる、黒目が追いやられた瞳がカメレオンをまねて、獲物を捕らえてる。スロットルだったのかも、対象物を捕らえた瞳が止まる。私を見つめて。
 ところが彼女は拳銃を投げ捨ててしまった。
 私の視線はもちろん、落下する模られた金属を追った。まずい、遅かった。
 引き戻した視線の先に待ち受けた想いも寄らないあの人の婚約者は、あられもない姿を私に見せつけた。
 パラばら、髪の毛が固まり、まとまって重力に従う。
 とても従順。胸に針が刺さった。私には何一つ物理的な制裁を加えてはいない。ただ、見させられている。精神的な苦痛とも言いがたい。目をつぶればいいんだし、無理やりまぶたをこじ開けようと力づくの強行にサリーは走らない、バリカンを持っているのだから。
 遅れてモーターの駆動が耳に届いた。
「やめろ!」私は、叫んだ。