コンテナガレージ

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トラディショナル4-2

 次の日。夏休みの課題に厚みを持たせるために、街を散策した。犬の散歩という名目であれば、誰も私の身を案じたりはしない。祖父から大まかな地図をもらった。中央に白線が引いた道路だけが書かれていて、現在地と目安の建物が数件、大雑把な地図は私が提案したのだ。課題のことも伝えていた。朝の早い時間七時に祖父の家を出た。途中の休憩に昼食のおにぎりと携帯用のお菓子これは道に迷ったときにだけ食べるように念を押された、それと犬用の水。公園があったら犬に水を飲ませるように言われ、水道がなかったらこの水を飲ませること。それ以外は特に母親のように口うるさくあれこれと戒律を立ててこないでくれた。私はめったに使わない端末の番号を祖父に教えて、犬を連れて町へと繰り出した。構想では、白地図に近く、地図に書かれていない路地を見つけ出し、その場所を写真収めるつもり。見開き一ページを使う。大体、十ページ前後で収まるように設定。一ページ目と目次、二ページ目に地図の全体図と路地の写真。ありきたりな建物は排除する。

 とりあえず、勾配に合わせて道を登ってみた。細かな路地は山に向かうとなるとほとんどが行き止まり。下りは駅に向かって繋がっているのだろう。川を渡って、未舗装の道が視界に入る。犬も山が好きらしい。しかし、入ったものの、一部斜面の木が伐採された場所に行き着いて、引き返した。ここで一旦水分補給。犬にも水を与える。おにぎりを半分分け合って並んで食べた。斜面に座ってしばし休憩。その後、道路に出てさらに上を目指し、頂上に到達。それか外周をぐるり回りきって、日暮れ近くには、家に帰り着いた。

 翌日は、内部の道を調べ上げる。川が住宅街に引かれているが、途中で姿を見なくなった。まだ滞在日は残されてる、焦ることはないか。私は、大まかに地図を上下に区切った上半分の道をその日に調べ上げ、次の日にもう半分を調べる。見通しの悪い場所、高架下の暗がりなどを写真に収めた。

 全体の地図をほぼ完成させた日、川の全容を残すのみとなって、昼食のおにぎりが不要であると帰宅と同時に祖父に告げたら、明日はどこかへ車で出かけるというので、家に居てくれとお願いされた。人は尋ねて来ない、郵便物はテーブルに置いといてくれればいい。食べるものに困ったら、お湯を沸かして即席麺を食べるかしなさいとのこと。あいにくお菓子は常備していないらしい、やはり通常の対応とは違って、私を一人の人間として認めてる、私の勝手な解釈である。