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DRIVE OF RAINBOW 3-1

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 支店長に、書き込みについてはおそらく自分が対応するのはこれが最後で、後は上層部の捜査員に今一度私に話したように現状で起きたことと、これまでの出来事を伝えるようにと告げて鈴木は署に出勤した。

 捜査の継続も上層部が絡めば末端の捜査員の出る幕ではない。早々に引き下がるのが懸命だ。鈴木はO署の駐車場に車をとめた。気温が下がると踏みしめるたびに雪面が靴に押されて鳴き出した。

 いいのだろうか、支店長には偉そうに説教じみたことを言いを放っていたのに、上層部の出現を予期して尻尾を巻いて負け戦にならないよう守りに徹したのはどこのどいつだ。鈴木は、ため息かただの白い息かのどちらかを吐き出した。玄関の見張りに挨拶をして、二階の部屋に滑り込んだ。

「やけにゆっくりとした出勤だな。部長にでもなったつもりか」相田の嫌味も鈴木は透明に姿を変えてすり抜けていく。生気のない、青白い鈴木はか細い声で挨拶した。

「お前具合でも悪いのか。ノロとかインフルだったら病状を隠してないで正直言えよ。お前一人休んでもなんでもないんだからな」

「そんなんじゃあないです」

「気持ち悪いな、じゃあなんで遅れてきたんだよ?渋滞か」

「M社で書き込みの捜査です」

「何だ、仕事じゃないか」

「ええ」

「最初からそう言えよ。それで?」

「それでって?それだけです。たぶん捜査は上層部に引き継がれます」

「なんでわかるんだ?エライさんが出てくる幕じゃないだろう。そもそもあっちがこっちに無理やり仕事を回してきたんだろうが」

「上同士でやり取りがあるようです。大企業のリコールともなれば提携先との信頼性も薄れてきますし、出資先の外資にも影響は及ぶでしょうから、その辺の協議をやっているんだと思います」

「ずいぶん詳しいな」

「しゃべっている内に思い出しただけですよ。さっきまではそんな気分ではなかったんです」

「お前が落ち着いているのは調子が狂うな」

「だからもう大丈夫です。なんでもありませんからご心配なく」コートを脱ぐと今度は鈴木から話す。「相田さんこそ、時間通りに来たんですね」

「いつも遅刻しているみたいに言うなよ。遅れているようでギリギリに間に合わせているんだよ」

「へえ、それは初耳です。もしかして、家を出る直前に掃除とかしちゃうタイプですか」調子が戻ってきたのか鈴木は微笑を浮かべて隣の相田を茶化した。

「だったらなんだよ、遅れてないんだから文句を言うなよ。迷惑はかけていない。だったら何をしてもいいだろうが」

「悪いなんて一言も言ってませんよ」鈴木は言葉を切って間を作る。「それにしても暇ですね。僕たちは何を待っているんです」

「何も」相田の両手が短く刈り上げられた後頭部に添えられる、大きな体がそれだけで揺れる。「鑑識から新しい情報が上がってくれば、捜査の必要も出てくる。今のところは音沙汰なし」

「思い出した!」勢い良く鈴木はデスクを叩いた。