コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

選択は三択1-1

 初の試み、ランチのみの初日が開幕した。お客の反応は様々、変わったと嘆くお客の声も聞かれた。それでも、お客の入りは盛況、店は活気に溢れ、通常営業を前後三十分拡大させた時間帯で店を開いたのが好評を博した。

 ランチメニューには小川が作るピザ、ハンバーガー、鶏肉とライスのセットの三種類を揃えた。鶏肉だけはじっくり火を入れる調理の関係上、時間を要するので、鶏肉を選んだお客は店内で待機する格好を取った。

 せわしなくピザが焼かれる。通常の倍の生地を当日の朝に仕込み、綺麗にランチ終了の午後二時半に売り切れた。汗だくの小川はやりきったという表情であった。また、ハンバーガーは午後二時をもって売り切れた。早めに店を開けたため、観光で通りかかったお客が開店三十分に怒涛の勢いで、つられるように購入を求めたのだ。

 鶏肉の弁当も好調で、こちらは時間がかかる反面、腰をすえて、ゆとりをもって過ごすお客が外のお客を眺めつつ、店内で順番を待っていた。即応性には欠けるが、もっともリピートを期待できる購入層である、と核心を強めたのはこれらの購入者であった。

 従業員たちはひどく疲労を体感していたが、午後は仕込みのみに時間を充てるために、速度を求められる作業は少なく、失った体力は仕事をこなしながらこまめに回復を図るよう各自が努めた。

 ホール係の国見は午後の仕事を早々と終えて、翌日の仕込み作業を手伝うというこれまで見られなかった調理場への進出を果たした。これは彼女にとっては大改革であり、店長が夕方に帰すことが関係しているだろう。彼女のプライドを刺激したつもりはないが、国見なりに現状に合わせることを学んだという解釈に、店長は一応理解を落ち着かせた。

 そういった新形態の店が一週間と続き、小川が休憩のたびにフランス料理促進普及協会の巷に溢れる情報を集めては、土曜のランチ終わり、片付ける場面で発表するのであった。

 乗り切った最初の一週間で得られた情報は、以下のとおりである。

 店に直接乗り込み、island nation in the far eastに参加を要請・勧誘した川上謙二は自殺や自然死、病死ではなく他殺だと判明した、事件に関連を見出したS市の管轄署の方針転換による見解の変更であった。また、主にこれらは種田という隣町O署の女性刑事からもたらされた情報であるが、川上の周辺に漂っていた見え隠れするフランス料理促進普及協会の広告はすべて協会が故意にその事態を引き起こしたものであることが明らかとなった。死体の発見を事前に予期していた疑いが他殺に値するまでに強まった、ということらしい。