コンテナガレージ

コンテナガレージ

仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

千変万化2-3

「バス会社にとっては、ありがたい話ですよ。今後数年はT駅とを繋ぐ路線が開通、短期的な増収が見込めます」

「完成すればカシモトシラセには会えなくなる」

「好意を抱いていた、ということですか黒河さんが?」

「そういった動機も考え付くということです。確証はありません」

「曖昧な恋愛感情が動機、よく言えましたね」種田が美弥都の意見を批判する。

「しかし、彼女は建設予定地周辺の立地に目をつけて、小規模の店舗や戸建住宅、マンション建設の候補地を調査していた、彼女はまだ当面バスを利用したはずだ」熊田は美弥都の見解を擁護する意見を述べた。

「彼女の個人的な事情にまで通じていたら、犯行には及ばない。つまり、運転手は彼女については知りえなかった」種田が言った。

 鈴木は首を振る。「……ふうむ。いまいち腑に落ちないんだよな。それにだよ、忘れ物のガイドブックを山遂さんが持って電車の車両を探したけれど見つからなかったのも、変じゃないかな」

「ホームのカメラは彼女の乗車を捉えています。いつもと乗り場は違ったみたいですけれど。もっと言えば、山遂セナのくまなく車内を探した、という供述も曖昧、偽証することもできます」

「見つけたのに、見つけていないって?」

「はい」

「なんのためにさ?」

「好意を抱く相手に声をかけられなかった。あるいは、まったく別の理由があったのか。たとえば、彼女は誰かと親しそうに話していたとか。彼女は自宅近くの最寄り駅で降車しています。山遂セナよりも先に」

「ますます、頭がこんがらがってきた」鈴木は頭を無造作、手のひらで押しまわして、二本目のタバコに火をつけた。「あの、そろそろ、犯人を教えてもらえませんか?今日もいつ店長さんが戻るかわかりません」

「あなたが運転したのですよね、レンタカーは?」美弥都が種田にきいた。