㍶の躍動を停止。痺れそうなお尻を労わって、屋上に出た。誰かに見られる可能性をはらんでいるのに、私は空がそれでも見たくなったの。月が出ていると思っていたのに、星も見えない。星を見るために、自然を求めに住まいを離れるんだって、おもしろいね。矛盾だよね。今の場所が居づらさで満載なのに。町の明かりも見える。人が住んでいる証拠、昼には拝めない、生命の営み。明かりで大勢を想像してしまえる、だから言ってるじゃない受け取り手の問題って。
私はいつも驚きたいんだ。
月が出ている時に、夜に空を見上げて、運の良さをかみ締められたら私は救われる。
そして、また見つけたことを忘れられる。
月が出てきた。隠れた雲からご挨拶。
欠けてる。食べられたみたいに、望遠鏡で覗いたら歯形が見えそうだ。
笑う。
一人で。
そう、一人でも笑える。
私も私を受け止めたんだ。
月を見て歌が詠みたくなった。
たぶん、鏡の作用だよね、そうやって内部を洗い出すのさ。
構い事がなくなった夜の眠るまでのひと時に今日のわだかまりが表にひょっこりとそれこそ月みたいに出てきただけ。
欠けてるから、もしかしたら悲しいことを歌うのかも。
それだって受け取り方。
いつもここへ舞い戻る。すべてが私だから、仕方ないか。
もう眠ろうか。
ベンチがちょうど月に向いてある。ある?あった?現在から、過去から、これから、そのどれにも当てはまるベンチの佇まいは生きているように思えた。
翌日にベンチが動いていたら生き物だと思ってしまうかもね。今度はちょっと浅い笑い。
ベンチに座って、月を眺めた。
久しぶりにアルコールが飲みたくなった。
限定的な解除ならば、少量ならば、飲んでもいいかもと、思い始めた、わたし。
十分に私は楽しめている。
ここでも深い深い山中でも絶海の孤島でも海底でも外部へ私の発進が届いたのなら、私は生きていけるのだろうね。 いっそのこと仕事も辞めてしまったらどうだろうか。
それはまだ、答えに達していないの。
もしかすると、肉体の衰えがかさめばもしかすると強まるかもしれないからね。
さようなら、今日の私へ。
またあした、明日の私へ。
こんにちは、明後日のわたし。
でてるかな、欠けた月よ。
はれてるかな、朝の空は。
ただいま、屋上の景色。
げんきでね、真っ黒な画面。
どうしたしまして、瞼。
おやすみ、青が緑と言ってきかない、きょうまでのわたし。
おわり