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追い詰める証拠がもたらす確証の低下と真犯人の浮上 4

「僕にばっかり当たらないでください。相田さんも共犯ですよ。同罪です」
情状酌量はつく。行きの機内の惨状はそれはそれは悲惨だった」
「昔話みたいな導入部で誤魔化せませんよ。どうすんです?手がかり、すり抜けちゃいましたよぉ」
「お前も考えろよ」
「考えてますって、とりあえず先輩の指示を仰ごうって判断は間違えてませんよ。俺の指示に従え、何度か相田さんには言われてましたからね」
「こんなときにだけ引き合いだして。鈴木、お前女と付き合ったら支配するタイプだろう?」
「はぁ?何を言って、僕のどこに暴力性が見出せますかぁ。心外です、アあっ、もうあったまきた」
「どこ行くんだよ?」
「僕も知りません!」
「キーは俺が持ってる」
「だから、なんですっ」
 引き止めて欲しいのに、ロビーに向かう鈴木は相田の必死の呼びかけを待つ。だが、ぱったり音沙汰は聞かれない、静かなもの。縋るお詫びを込めた相田なりの荒い返答は途絶えた。鈴木はそっと肩越しに背後の様子を確かめる。
 レコーディングスタジオの一階ロビーに待機組みの鈴木と相田はアイラ・クズミのピックアップを狙ったはずが、ロビーに漏れる眠気を促す日光の思う壺、誘われた彼らは眠りこけてしまったのだ。正午を過ぎた時間にソファを飛び起き二階のスタジオを訪れるも時既に遅し。アイラ・クズミは一旦スタジオに戻りとんぼ返りでここを離れた、エンジニアのキクラの証言だ。