コンテナガレージ

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仕事(フリーライター)、日常、小説、その他諸々

白い封筒とカラフルな便箋

  ただし、あの事件は一般的と呼ばれる事例に関わった者たちならば、口をそろえてその連続性、繫がりを同時に言ってのける。

 過ぎたことに囚われる暇は、私にはない。

彼女は都心の地下鉄、駅、人もまばら。低層のビル街を歩く。通りに沿って歩道を進む、左手にはずらりとオフィスビル商業ビルは一棟か二棟ほど、一階の路面店が数件、飲食店や家具の販売店が立ち並ぶ。勤務先あるいは、取引先や打ち合わせ場所に足早に急ぐ通行人に今日も追い越される。アイラの歩行速度は園児の散歩も追い越される。アイラの歩行速度は時速四キロよりも遅い。

 右手は交通量の多い幹線道路、通り向こうはお寺だ。人が並ぶ、所蔵品の展示でも行うのだろう、あの行列の中に絵画や仏像を心から待ち望む人はどれぐらいか……。観光のついでに、理由は人それぞれだ、構った私が愚かというもの。

 細い路地を曲がった先、十字路を一つ越えて左手、次の曲がり角、敷地いっぱいに建つ古びたビルへ。アイラは吸い込まれるように潜る。一階ロビーの掲示板、本日の音楽ブースを割り振りを確認して、今日も二階のAに慣れ親しんだ作業場をあてがわれたらしい。当然、一ヶ月の契約を結んであるのだから、そうそうブースの変更があってはたまったものではない。彼女、アイラ・クズミはプロのミュージシャンである。隔週ごとにライブ演奏を開らく。レーベル契約を結んだ翌週から隔週のプロジェクトに取り組む。マネージャーの呆れ顔が日常の光景に成り下がる低価格のチケット販売で、これまで突発的な機材とトラブルを除き、ライブは隔週続けた。大規模なライブの開催に先立つ練習の場、という方針を貫く。料金は諸経費とつりあう金額に設定した。利益は排除してある。だからといって観客への思いやりに受け取られては困る、これは実験。

「試行に拒否反応を示すようであれば、訪問は控えるように予め公言をしておく」