コンテナガレージ

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パート2-4

 疑問を抱いて、タクシーに乗り込む。広大な土地を移動に移動、ほぼ一日をかけて生活、仕事、学校の手続きを済ませ、家に着いたのはほぼ深夜。父の仕事場の訪問が最後であったためにそこの滞在が最も長く意味のない表面的な会話に興じて長引いた。母の仕事場はキッチンスタジオ。家から離れた場所、約十マイル。そちらには送った荷物が搬入され、電気や水道、ガス、回線のチェックを確認するだけだった。こちらの富裕層に向けた料理教室を開くらしい、ネットで見られるように中継の設備も整えるのだそうだ。母はまくし立ててきいてもいない仕事の話を途中で切り上げた。母が隣の席で密着していたからだろう、子供と意思疎通を図ろうと通常沸き起こる母性が蘇ったらしい。僕の状態を作り出したのは自分であると、攻め立てた以前の様子はどうにか彼女なりに包み込むと観測。母は自分専用の車を取りに一人ディーラーで降ろして、終夜営業のスーパーに立ち寄って本日の食事を買い込んだ。

 こうして、この国での生活の始まった。

 許可されたケーブルテレビ、動物の生態を特殊効果のナレーションで眠気を誘い、チャンネルを眠ったまま変えさせない作戦の番組を冷凍のうどんを食べながら見た。備え付け家のカウンターキッチンは僕には高すぎて食事が取りにくい。なので、リビングのローテーブル、オーク材だろうか、こげ茶色の天板に直に床に座って食べた。父は考えに耽りながら、食事を食べ終えると自室へ消えた。シャワーを浴びて寝ようと僕は、重たいまぶたを持ち上げ、立ち上がると電話が鳴る。電話回線を繋げたらしい。受話器を取る。

「ご自宅はいかがでしょうか?」聞き覚えのある声だ、機内の男性と僕は特定。父が呼んでいるが、電話の相手は母だと応えると、返事はなくドアが閉まった。僕は話す。

「僕に関心を持つ人が他にいるようですね、この家を選ばせたのもあなた、いいえ、あなた方でしょう」

「回線は今後盗聴されます。そのため、電話連絡を含む伝達事項は封書に代えさせていただきます。また、製品価格の三パーセントが実験対象のあなたへ振り込まれます」

「五パーセントです」

「ご冗談を」男性の鼻息が漏れる。

「冗談ではありません。国内の市場であっても、本国では大規模でしょう。もちろん、こちらの国がターゲット。そこへ各国の関心を集める方針でしょうし、マーケットは国内が世界規模です。技術と考え、ノウハウが製品作りの要。骨格がしっかりしていれば、ええ、どなたが外皮を作っても衝撃には耐えられます」