コンテナガレージ

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予期せぬ昼食は受け入れられるか?6-7

 間髪いれずに回答。「してない」

「……倉庫で怪しい会話をしてたじゃないですか、あ、あれはどう説明するんです」小川は長身の館山に隠れて顔を脇から覗かせて、午後に見たやりとりを指摘する。

「僕の口からはなんとも、その件に関しては話せない。だけど、二人に面接で言った事項は破ってはいない、ということは断言するよ」

「蘭さん、答えてください」小川は涙声で言う。女性はところ構わず涙を流すか、僕はどうだろうか。

「応えなくていいよ、国見さん」

「店長!やっぱりそうなんですね?」

「だから、違うよ。思い違いだ」

「なら、はっきり訂正なり、告白なりを言葉で示してもらわない、私にだって、その、なんていうか、気持ちの整理とか、あるんです」

「ごめんなさい。今日はちょっと話せる気分じゃないの」レジの国見が良く通る声で返答。無言、沈黙。

「……店長、蘭さん送って帰るから、いつもの残業を休むんだから、それってつまりは、そういうことですよね?」

「誤解だ」

「なにがですか!」

「もうやめなって」

「先輩だって、冷静な振りして、内心は煮えくり返って、ぐつぐつ溶岩みたいに真っ赤なくせに」

「国見さんは、今日は話せないと言っている。それは、明日やあさってなら話せるということだろう?」

「……おつかれさまでした」小川が力なく別れの挨拶。

「はあ、もうっ、めんどくさい」館山は小川に遅れてロッカーに消えた。