コンテナガレージ

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予期せぬ昼食は受け入れられるか?7-1

 二人が先に店を出る。国見と店主はそれから五分の時間を待って店を出た。

「良かったんでしょうか、二人にとてつもない勘違いをさせてます」地下街に下りる階段で国見が、踊り場で振り返る。階段を上る通行人をやり過ごして、彼女は続けて話す。「言っても良かったですよ、傷のこと」

「国見さんが自分で処理してからの方が、多分妥当な選択だ。小川さんには悪いけど、こっちは命に関わるかもしれない」

 圧力のかかるドア引き、通過。人の通りが増えた地下通路に降り立ち、改札に向かう。床の清掃が大掛かりな機械で遊園地の遊具を操る、蛍光の制服姿の清掃員が通路の片側を占領、黄色いランプが危険を撒き散らしては、道を譲るように指示を与える。

 地下鉄に乗り込み、店主が降りる駅の二つ前で下車。引き締まる雪面に二人並んで歩くのは憚られる、押し迫る雪山が歩道を狭めているためだ。裏路地に入ると、やっと並んで歩く幅が確保されるが、車のヘッドライトに照らされては、列を縦に変更する。

「今日は、迷惑ばかりかけています。明日、朝一で、安佐には事情を説明したいと思います」

「頼むよ」店主は息を吐く。

「うちの店だけが狙われたのが私、不思議でなりません。他のお店も狙われていたんでしょうか?たまたまうちの店がターゲットに選ばれたとは考えにくくて」

「街中でしかもそれなりの集客を集める店を狙ったのかもしれない。防犯カメラは前に起きた事件の時で取り付けていないことは近隣の店舗になら明かされているし、その後も店の前を映すカメラは取り付けてない。うちには必要ないしね。だから、狙われた。大手にチェーン店は、カメラは必ず取り付けているだろうし、存在は隠したかったのさ」

「誰かに雇われたにしても、私の襲うのは急すぎませんか?」

「連携が取れていなかった」

「出来合いのチームだから?」

「日付しか教えられてなかった、という見方もできる。いずれにせよ、個人的な恨みが襲撃の原因には思えないね」

「そうだと、いいんですけど……」

「警察には一応連絡を入れておいた。君の住所を教えておいたので、勝手な判断だったかな?」

「いいえ、そんな。ありがたいです」