コンテナガレージ

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永劫と以後 1-4

「蘭さん、真に受けたんですか?」小川が尋ねる。

「まあ、八割はいたずらだとは思った。けど、店の名前と、何より私の番号を知っているのが、どうも説明がつかなくって、どこからか漏れたにしてもだよ、回りくどく、コンビニ受け取りにするより、店に直接配送ができたはず、送料だって支払っていた。一応、お金下ろしてきたのに、まったく!」

「怒ってますねえ。店長、私開けましょうか、はい、あけましょうね」間髪いれず、小川が嬉々としてダンボールに飛びつく。方や重い荷物を運んだ国見は傍観。年齢と立場、性格の正確な把握が行動でわかってしまう。

 中身は、米三キロ、小麦三キロ(薄力粉が六つ)、大豆一キロ、とうもろこし粉五百グラムが、重い米を底に、ぎっしり穀物の贈り物。意外な国見の腕力の強さが証明された。

 送り主は無記名である。名前と住所の記載は送料を支払えば、送れるのだろうか、店主は荷物を送った記憶を数秒たどってみるものの、近親者へも荷物を送ったことがないと判明する。経験しておかなければ、とは思わない店主。必要に迫れば送り方は、応対する人物に尋ねよう。気恥ずかしいさや大人だから、そういった一人前の感覚は無意味。

「これで料理を作ってください、応援してますよってことのように、ぱっと見、感じました」手際よく小川は、穀物を箱から取り出す。米はダンボールに押し込まれたらしく、引き出すのに多少手間取ったが、袋の内部は米粒、隣り合う米との隙間が空いているのだから、多少の形の自由度は高い。

「お米の価格はおとといでしょうか、急激に下がってました」国見は腰に手を当て、息を整える。

「私の推理が正しいですね。安くなりましたのでライスが食べたい、サラリーマンの訴えですよ、うん」

「お金を持ち合って、わざわざ買って送ったの、これを?私への電話も?」

「お客さんが店長の疎さを知ってるのは、ああ、難しいですね。だったら、業者とか?」小川が首を傾ける。