コンテナガレージ

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お手を拝借、今日はどちらに赴きましょうか?7-6

 美弥都が発した言葉は息継ぎを忘れる。とめどなく、制限時間を設けなければ、永久に彼女の透明な声を聞いていられただろう。コーヒー豆の容器が並ぶ背後の棚に置いてあったタイマーつきの時計が、午後一時を知らせる合図を奏でたので、事件の回答はそこで途切れた。

 種田は出力した文面を車内で読みふける、現場に向う海道沿いのコンビニの駐車場に現在、車を止めていた。

 文面は以下のようであった。

「お互いに面倒なことに巻き込まれましたね。あまり、警察の方々への協力は控えるよう、忠告をしておきます。一度や二度が、三度四度と回を重ねるのが、この方たちの手法ですから。事件についての、見解でした。はい、応えますよ。時間は平等に流れてます、ご心配なく。しかし、あなたはとても親切な一面を装って、肝心の箇所はあいまいに濁した回答をなさいました。その点を私は指摘せざるを得ない。ええ、あなたのせいで私はこうして警察の質問を受けるのです。はい、はい、応えますとも。そんなに急かさないで欲しい。事件については、どうやら私とあなたのアプローチ及び着地点は大いに酷似した内容把握に落とし所を見つけた、そのように解釈をします。ですから、どうでしょうか、あなたも迷惑を被るのはこれ以上控えたい、だが警察は足しげく訪問を繰り返す。提案ですよ、私の次にあなたの元へ、あなたを訪問しても事件が解決に導かないのであれば、その次はあなたの見解を持参して私の元へとやってくる。じっくり腰をすえて応対する無駄の解消と訪問回数の減少が見込めるのは、願ってもない、手放しでは喜べないにしても、とても理に適った前向きな選択と私は今さっき考え付きました。互いの限られた一日の有効的な利用のため、この提案を受け入れてくることを大いに心から願っています。